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人間学・古典

第21講 「言志四録その21」
誠の物を動かすは、慎独より始まる。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
誠実さが物事を成就させるというが、誠実さを産みだす原点は独りでいる時の慎みである。


【解説】
慎独とは、独りでいる時の慎み(生活姿勢)です。
刑務所の受刑者には看守と監獄が付き物です。
人の道を踏みはずした者に、戒めの刑罰を与えると共に正しい生活リズムを身に付けさせることが狙いです。
独りでいる時の生活が正しく保てなければ、再び道を踏み外してしまうことになるからです。
アフリカのある国の監獄では食糧事情が悪く食べ物がないという理由で、朝から帰宅 させ夕方に再び収監するといいます。
逃亡の誘惑を断ち切って自らの意思で毎日刑務所に戻ることは、立派な慎独生活になります。


なぜ独りを慎まなければならないか?「独り=一人」に焦点を当てて見ていきましょ う。
「独」とは一人のことですが、家族を構成する一人・職場を構成する一人・国民の一人・人類の一人と連想できます。
より拡大すれば地球生物の一匹ですか ら、「独りとは、地球の横社会を構成する一匹」となります。

横もあれば縦もありますから、「独りとは、地球の縦社会を構成する一匹」という見方も生じます。
人類の大河も、各人が生まれて死ぬという70~80年の人生を積み重ねて現在に至っています。
小石が上流から下流に至るまで積み重なって川 原を作るように、
我々の命も人類の歴史という時の流れを築く縦社会の一構成員であります。
更に地球横社会の一匹説と地球縦社会の一匹説をまとめますと、「独りとは、自然界を構成する一微粒子」となります。

(余談:私は主催する『人間学読書会』の会員の皆さんに、この一微粒子説の理解ができて、初めて人間学の理解が
できると申し上げています。なぜならば、人間学を学ぶに当って、自分の命の原点が何処にあるかを理解しないでは、
根無し草の思想になるからです。現代は多くの思想 や宗教に溢れていますが、本物思想か偽物思想かの判断は、
その思想で命の原点をどのように捉えているかで、凡その真偽の見当ができます)


次に知行合一の観点から、「自然界の一微粒子」をどのように生活に活かすかが重要になります。
「はかなき極小の我が命」と消極的に捉えますと、無気力が先行する卑下慢人生を歩むことになります。
逆に「天地自然の構成員たる貴き我が命」 と積極的に捉えますと、我が人生が人類の歴史や宇宙の命に繋がり、
日常生活の中に溌剌とした日々が生まれます。

私は11月頃から翌年の計画を考え始め、元日の朝に一枚の「自分流の慎独計画表」 を作成します。
計画項目は雑多の6項目ですが、自らの活動可能な余命年数(後何年の命か?)を予想して決定します。
三が日は書き写しや口述をし、後は項目 ごとに月々チェックをして◎○△▲を記入し、年末に年間評価を行ないます。

経験から申し上げれば、△▲が数ヶ月続いても慌てないことです。
12ヶ月間のう ちには頑張れる月が必ず数ヶ月はありますから、一年経ってみれば無計画より大きな成果が出ます。
漠然とした期待感だけで過ごしていた一年と比較すれば、数倍の密度となります。
我 流の慎独計画を作り始めて十数年が経ちますが、当たり外れのない一年を過ごすことができるのも
「言志四録」を始めとする人間学の名著のお陰様と感謝しています。

 

杉山巌海

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