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<事例―23 ロイズコンフェクトの生チョコレート(B2C)>日本に加え、海外での評価を獲得するグローバルブランド・・・それがロイズコンフェクトの生チョコレートだ

酒井光雄 成功事例に学ぶ繁栄企業のブランド戦略

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●北海道限定販売で付加価値を高めたロイズの生チョコレート
 
 北海道を代表するお土産として人気を博し、新千歳空港や地元のデパートを中心に北海道エリア限定で販売されているのが、「生チョコレート」に代表されるロイズの商品群だ。
 
 北海道以外の人が購入しようとしたら、地元で開催される北海道物産展を訪れるか、同社の通信販売を利用しないと入手できない。これは商品の付加価値を維持するために、同社がかねてより堅持している販売方法だ。
 
 同社の看板商品である「生チョコレート」は当初冬季限定商品だったが、1995年に通年販売を開始。新千歳空港の売場に冷蔵ショーケースを持ち込んで販売する取組みは、当時はどこも採用していない画期的な販売方法だった。
 
 水分の含有量が多く、独特の口あたりと食感の良い「生チョコレート」は人気を集め、北海道を代表するお土産として、その地位を確立する。
 
 
●海外に進出しグローバルブランド化を実現
 
 日本国内では北海道エリア限定で販売する一方、海外進出は早くから着手した。2001年に高島屋がシンガポールに進出する際に請われて出店して以来、地元企業と提携し、シンガポール・中国(香港・上海)・マレーシア・タイ・インドネシア・台湾・韓国・インド・アメリカ・ロシア・ブルネイ・UAEに71店舗を展開している。
 
 北海道を訪れた海外からの観光客にロイズのブランドが知られていったことも、海外での評価につながっている。同社では海外に出掛ける(外国人なら帰国する)際に出国審査後に同社の商品が購入できるよう、
 
 羽田・成田・新千歳・仙台・新潟・茨城・富士山静岡・富山・小松・中部国際・関西国際・岡山・広島・高松・福岡・佐賀・宮崎・鹿児島の各空港の国際線ターミナルの免税エリアでも販売店を展開している。
 
 また博多港の免税店でも販売している。この取組みを見ても、同社が外国人のお土産需要を重視していることがわかる。
 
 海外で販売されている商品はすべて日本から輸出されており、輸送にはリーファーコンテナ(ワインなどでも使用される温度管理できるコンテナ)に入れて船便で送り、倉庫は冷凍冷蔵庫を使用している。
 
 ほぼすべての人がムスリム(イスラム教徒)であるUAEや、人口の64%ほどがムスリムのブルネイでは、飲酒は原則として禁止(ハラーム)されているので、これらの国ではアルコールを使用しないレシピで「生チョコレート」がつくられている。
 
 2013年に進出したニューヨークでもロイズの「生チョコレート」は好評で、安価な物から高級品まで選択肢が幅広く存在するアメリカで、ファンを生み出しているのは「生チョコレート」の商品力にある。「生チョコレート」と呼べる商品は、ロイズしか存在していないからだ。
 
 
<ロイズの事例に学ぶこと>
 
 売上げを増やすためには、販売エリアを拡大し、店舗数を増やそうとする経営者は多い。だがこの方法では希少性が失われ、商品と企業の付加価値も向上しない。
 その点ロイズは北海道のお土産であり名品である価値を守り、リアルの売場は北海道に限定する一方、通信販売ではどこからでも購入できる体制を取る。また海外には積極的に進出し、グローバルブランド戦略を展開している。
 これから日本の中小企業がグローバルブランドの戦略を立案する際には、参考にすべき好事例だ。
 
 
 
 
 
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