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- あなたの会社と資産を守る一手
- 第16話 バランスシートにのらない資産が利益を産む
資産というと、バランスシートの左側にあるものを想像するのが一般的だと思う。
たとえば、預金などの流動資産、土地・建物などの固定資産。IT企業ならソフトウェアといった無形固定資産など。
ところで、多くの企業の経営者に会ううちに、企業には2つのタイプがあることに気づき始めた。
1つは消費者のお客をもっている企業、そしてもうひとつはもっていない企業。
前者は問屋などだが、自社が卸している商品が最終顧客にどのように受け入れられるか見届けていないので何を流通させればいいのか、過去のデータでしか判断できない。つまり、時代の流れには遅れて反応する会社となりやすい。
ところが、後者の場合、最終顧客(消費者)に直接接しているので、何を作れば、何を流通させれば売れるのかが消費者の反応として即座にわかるので、それによって売上・利益を自社のアイデアで生み出しやすいのだ。
この最終顧客をもっているということこそ、じつはその企業にとって大きな資産なのだとつくづく感じる。
十年前にマニアックな商品を販売する会社が、会員制のサイトを作り、かんたんな顧客管理のツールを使いネットショップを始めた。もちろんリアル店舗のかたわらなので、たいした効果は期待していなかった。
ところが、いざ始めてみると意外なことがわかった。
売掛債権の回収が長期化し、資金繰りが苦しいときに、このネットの会員に向けてメールを1回打つだけで、売上が激増し在庫がなくなり預金に変わったのだ。しかも商圏を考えればそれほど増加の見込めない顧客数も激増した。
つまるところ、この資産はそれにたいして適切なアクションをおこせば、現金・預金にかえることができるのだ。それゆえに最終顧客が資産といえるのだが。
事業がいきづまったときや、経営改善計画を作る必要ができたときに、今一度、このての資産について考え直してみると思わぬ利益がそこに隠れていたりするものだ。