「仕事のすすめ方」
◆仕事を円滑にすすめる「コミュニケーションのスキル」◆
前回、「手紙の気配り」の封筒についてお話しました。今回は中身の手紙の内容の書き方と自分なりの気配りのこめ方です。
一人の新人ドクターは「先生、僕は(本来「僕」ではなく「私」なのですが)接遇用語は英語の新しい単語と思って覚えますと、自分の頑張りを表明していました。これと全く同じことが、皆様にとって「手紙文」におこるのではないでしょうか。大きく分けて、手紙文は1頭語、2前文、3主文、4末文、5結語で構成されます。
1、頭語については、結語とセットになりますが、手紙の内容によって➀一般的な手紙では「拝啓―敬具・敬白」②丁寧な手紙では「謹啓―敬具・謹白」③急用のときは「急啓―草々」④返事の手紙では「拝復―草々」などが代表的なものです。あとは実際、いただいた手紙の中で、見て学んで知識を増やすとよいでしょう。
2、前文については、頭語に続く時候の挨拶です。二十四節気(にじゅうしせっき)や七十二候(しちじゅうにこう)のことを知っていると、使う文字に迷わなくてすみます。ちなみに二十四節気も七十二候も中国から伝わったものです。季節を表すための工夫として、太陰暦を使っていた時代に考え出されました。一生の財産になりますから、パソコンでもすぐ調べられますのでこの機会に自分のものにしておくとよいですね。(私は個人的には、「藤花(ふじはな)の候」という言葉が好きなので、5月に書く手紙は嬉しく書きはじめられます。)次に挨拶文に続いて、業務への挨拶、例えば「貴社益々ご清栄のこととお慶びもうしあげます」などを書きます。手紙の内容によっては、さらに感謝の言葉「日頃は格別のご支援をくださり深く感謝しております」などを書いてください。
3、主文については、主文を書くために「1」や「2」を書いてきたのですから、「さて」・「早速ですが」・「ところで」などで速やかに用件に入ります。内容を簡潔に書くか、もしくは別記で箇条書きにするとわかりやすいです。
4、末文については、主文と関係した内容で、例えば案内「まずはご案内申し上げます」、断り「不本意ながらご辞退申し上げます」、依頼「ぜひご承諾くださいますようお願い致します」などで結びます。
5、結語としては1頭語で触れましたが、呼応する「敬具」・「謹白」などを使います。
やっと、手紙文が書きおわりました。書いた便箋は横書き・縦書きともに、どのように折ったらよいでしょうか?
書き出した方向に折ると覚えておきましょう。便箋を開いた人がすぐに読みはじめられるからです。いれ方も同じ理由で、書き出し部分が封筒の表側、なおかつ封筒の上部に来るようにします。また、切手を貼った(切手の貼り方が少しずれていると、あらこの方この程度のお仕事なのですね、と結構気になります。せっかく切手を貼った気配りが無意味にならないよう最後まで慎重に)返信用封筒を同封する場合は、こちらの宛先も書いて同封します。相手の手間をとらせないことに繋がります。だからといって「御中」や「様」までは書かず、「宛」や「行」と書いておきます。これらの小さな気配りを重ねることで、思った以上の好感度を生むのです。
女性対女性のやり取りでしたら、「文香」(ふみこう)を忍ばせるのも、封をあけたとたん喜んでいただけるのではないでしょうか。切手のことでもう一点、個人的体験を紹介します。ある郵便局に切手を買いにいきました。記念切手の発売日でしたので、持っていた封筒にそれを貼ろうとバッグから出したら、局員さんが「こちらで貼りましょうか」と声をかけてくださいました。嬉しい気配りと思ってお願いしましたが、びっくりです。2ミリくらい斜めに曲がって貼ったのです。私はあわてて「ごめんなさい。書き忘れた事があるので持ち帰ります」と言いました。皆様、自分で書いた手紙の切手は、念のため自分で貼りましょう。
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