融資を受けている会社なら、毎年決算書を銀行に提出する。しかし、これがどのように使われているか熟知している経営者は少ない。
じつは毎年、決算書から財務データの分析がされ、推定デフォルト確率なるものが出されている。
デフォルト(default)=債務不履行を意味し、デフォルト率は、債務者がローンを返済できなくなる割合のことを意味する。したがって推定デフォルト確率(推定デフォルト率)はその予想数値と言うことになる。
これらをもとに、この企業に融資をしていいかどうかが決定される。それゆえに財務データ、決算書をどのように作るか?が経営者にとって大きな課題となる。
上の図はある金融機関の融資取引の現況表上部に書かれていたものを符号を直して掲載したものだが、21年5月期の財務内容に比べ22年5月期の財務内容が良化し推定デフォルト率が低くなったことを意味している。
財務内容の良化とは、借入金などの負債が減り、現金預金などの流動資産が増え流動比率が良い状態となり短期的な支払能力が増した・・・などがあげられる。
「資産勘定に、これだけの資産があるから大丈夫だろう」と経営者が考えていても、勘定科目によっては銀行がそれを不良資産と見て減価することも多い。たとえば会社から社長への貸付金があり2期連続で残高が同じ場合など、社長が返済できないのだからこういう状態なのだろうと勘ぐられ、資産勘定から減価され、その結果、債務超過になることもあるのだ。
それから、普通の事業をおこなっている会社にもかかわらず、単純な投資目的の投資有価証券などがある場合も評価によって減価され、さらには融資の資金使途で、あらぬ疑いをかけられることもある。
決算が近くなったら、もう一度、資産勘定を見直してみる必要がある。これは経営者にとって大きな意味を持つ作業なのです。