「取引銀行から新規融資を貸してもらえないのだけれど」という企業経営者にたて続けにお会いした。
一人の経営者は、売上高営業利益率は減少してはいるものの黒字の会社を経営。与信的にみて、もう少し融資がでてもいいはずなのに?・・・と思ったが、その社長さんによると昨年の決算以来まったくとりあってもらえないと言う。
借入金はすべて信用保証協会付で、最後に借りたのは2年半前に設備投資をしたのが最後だと言う。
当時の借入関係の書類と直近の決算書の減価償却の明細表を見て原因がはたとわかった。設備投資のために資金を融資してもらったのだが、借入使途とは別の固定資産に資金が流用されていて、かつ金額が全然ちがうのだ。
これでは「資金使途相違」で、その次からの融資に影響がでてくるのが当たり前になってしまう。
債権者・金融機関は、何に使う資金でいくらかかるか?そしてそれがちゃんとその目的で使われたか?を決算書をとおして精査している。だから決算をするときには資産勘定をもう一度チェックする必要がある。
また、これとは別の会社の場合だと、運転資金で融資を受けてきて実際に運転資金として使われてきたのだが、同時に投資有価証券という資産勘定を増やし、融資資金の流用とみられ、銀行の担当者からそのように言われ一時的に新規融資がストップになった例もある。
決算書、とくにその流動資産・固定資産といった勘定科目は、資金がどう使われたか?を現すものだから債権者・金融機関により精査されることになる。
そのことを考えた上で決算書を作らないととりかえしのつかないことになることもありえる。