「仕事のすすめ方」
◆仕事を円滑にすすめる「コミュニケーションのスキル」◆
前回、「表情とジェスチャー」についてお話しました。今回は「褒め方と叱り方」です。
どちらにも共通しているのが、自分自身相手の身になって感じる心がいかにあるか(相手にどれほどの関心がもてるか)、相手のためにどれだけエネルギーを注げるかという2点です。
まず「褒め方」ですが、相手に関心が持てないと相手が見えてこないので、その延長線上にある「褒める」ポイントを見つけることは難しいです。私事ですが、2か月ほど前に指の骨折をして、人それぞれの対応を経験しました。いくつかあげます。
・パン屋さんで知らない人から「指の怪我は痛いですね、おだいじに。」・レジで硬貨が出しにくくノロノロしていたら(自分の順番が来る前からお財布に指を入れて準備していたのですが本当に硬貨が出しにくいのです)、レジの係の人が笑顔で「ゆっくりでいいですよ。」・電車内で紙袋を指3本で持っていたら、前に座っていた人が「よろしければ、座りませんか」・タクシーの運転手さんが急に「今の揺れは指にひびきませんでしたか?」などと声をかけてくださいました。
私はこれらの方々の相手への関心度から、相手を細やかにご覧になれていて、どなたもきっとほめ上手だろうなぁと嬉しくなりました。これを読んでくださっている皆さんはいかがですか?私はほめ上手ではないと思いますか?試しにいつもの2倍相手に関心を持って下さい。それほど難しいことではありません。朝出社したところのイメージをしてみましょう。相手をよく観る(「見る」より「観る」は細かいところまで意識してみます)ことで、具体的に褒めるポイントがわかります。
➀会社の玄関を入るとき、背筋が伸びていて歩き方も颯爽としている
②朝の挨拶を元気よく言っている
③笑顔がいい
④やさしくアイコンタクトを注いでいる
⑤生き生きと掃除をしている
⑥テーブルを拭くのに、キュッキュッとしっかり四隅まで拭いている
⑦だれにでも自分から挨拶をしている
⑧身だしなみが整っている
⑨誰とでも仕事を楽しそうにしている
⑩電話が鳴るとすすんで取っている
いかがでしょうか?30分もしないうちに相手の褒めポイントが簡単に10項目もあげることができるのです。細やかに観ることと共に心がけていただきたいのは「継続して観る」です。これにより褒めるタイミングがわかります。
また、違う角度からのアドバイスは、よいことは人前で言う、あるいは人を介して伝えるのも効果があります。研修で会場の空気が緊張しているとき、私は隣の人とペアで褒めあってもらいます。初対面のときは外見から入ってもらい(「髪のつやがいいですね」レベルでかまいません。)、同じ会社の人の場合は今まで一度も褒めていなかったところ(かなりお互いに真剣な表情で褒めるポイントを探しはじめます)をお願いします。この褒めあいは本当に一瞬で場がなごやかになります。その代り本気でほめてください。口先だけではマイナスの印象を相手に与えるだけです。
次に、「叱り方」です。感情がさきばしるようでは、相手を伸ばすことができない叱り方です。最も重要なのは愛情に裏打ちされているかどうかです。これは日頃からのコミュニケーションが大きく関係します。叱る内容については具体的に簡潔に話すこと、そして客観的、かつ事実に基づいた理由を説明します。時には口で言うだけでなく、自分がお手本をみせたり、言葉の理解のために相手に実際体感してもらうことがよいでしょう。
さらに叱った後も、ずっと見てきたことを伝える機会を作ることも忘れないで下さい。それから、叱ることは、決してその人の人格を否定することではないことも伝えて下さい。
今の世代の方は、叱られる機会が少なく育ってきているので、叱られるイコール人格の全否定と勘違いしてしまう場合もあります。
最後に、褒めるときは人前でと申し上げましたが、叱るときはマンツーマンが基本です。