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製造業

第192号 レベル1の改善事例:機械を自作したS社

柿内幸夫─社長のための現場改善

 急に秋らしい気候になりました。もう10月ですから当たり前といえばそうなのですが、何はとれ猛暑が過ぎ去って助かりました。

 ところで、毎日指導先に移動する時にキョロキョロしながら街を歩いていると、いろいろなものが目につきます。松尾芭蕉に関するものもとても多く、気になるもののひとつです。芭蕉翁がそれだけ全国各地を歩かれたからですが、車も舗装された道路もウォーキングシューズも無い時代にすごい方だなあと感心します。

 今回は、私がいろいろな場所でみつけた芭蕉にまつわるアレコレを載せてみました。写真は上から順番に、三重県伊賀上野の銅像(あいにく天候が悪く、映りが悪くて申し訳ありません。。)、静岡県三島で見つけた墓碑、山形県山寺にあった記念館です。

KAKI192-1.jpg

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 さて、先回のコラムでは「最終組立工程におけるレベル1とはどういうことか」についてお話しましが、既にその内容を実行済の読者の方から、「組立工程以外のレベル1」について聞きたいというご要望を戴きました。そこで今回はプレス工程でのレベル1改善の例をご紹介いたします。

 《モノづくりの6つのレベル》

 レベル0:ダンゴ生産

 レベル1:工程内の流れ

 レベル2:工程間の流れ

 レベル3:工場内の流れ

 レベル4:工場間の流れ

 レベル5:お客様への流れ

 レベル6:一気通貫の流れ 

 もし、一回のプレスでその仕事が完成してしまうのであれば、それでもう次の工程に移動できますから、工程内の停滞はありません。

 ところが、一つの製品を作るのに3種類の型を使って3回にわたってプレスをしなければいけないのに、プレス機が一台しかないという状況だったらどうでしょう。

 一回で打つロットサイズを50個とすると、まず一番目の型で50個を打ち、型替えをして次の型で50個を打ち、また型替えをして最後の型で50個を打ってようやく50個の完成品ができるという作業になりますから、当然のように50個の中間品は型替えをする間は停滞をします。

 そして、一個目の完成品ができるのにかかる時間は、
 (プレスサイクルタイム×50)+型替え時間+(プレスサイクルタイム×50)+型替え時間+プレスサイクルタイム
 …となりますから、かなり長い時間待たないといけません。すなわち、ここには工程内の流れが無いということになります。

 このような状況があった場合、どうすればレベル1の工程内の流れができるでしょうか?答は簡単です。プレス機をあと2台増やして3台にすることです。

 そして3つの型をそれぞれにセットしておいて、一回つかんだら離さないで3台の並んだプレス機で順番にプレス作業を行い、あっという間に一個の完成品を作ればいいのです。

 しかし、プレス機械は高額です。買うわけにはいかないという会社が多いでしょう。そういう状況におかれた時、S社という私の指導先の会社はなんと、2台のプレス機械を自分たちで作ってしまいました。

 「エッ、自分でプレスの機械が作れるの!?」 と思われる方も多いでしょう。もちろん市販の汎用のプレス機はとても自分では作れません。いろいろな型がセットできて、しかも高速という汎用機械は専門家に任せないとできないでしょう。

 しかし、S社の場合は、その工程で使う型しかセットできなくてもよいし、しかもゆっくり動くというものでもよいので、自作したのです。写真をご覧下さい。S社で油圧シリンダーを使って内製した専用のプレス機械です。

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 6つあるレベルの入り口のレベル1といっても、いざ始めようとするとけっこう困難が待ち構えています。しかしここでめげずにチエを出して乗り切るということで実力がつくのです。次回はこの設備を自分で作る内製化についてお話します。

 ところで、このコラムをご覧いただく時、私は日本経団連主催の洋上研修の講師として8日間を船の上で過ごしています。メールと電話が全く無い生活というめったに無い機会です。しっかりと研修生の皆さんとの勉強三昧の時間を過ごして参ります。

 急に涼しくなったので、風邪などを引かないようにお気をつけ下さい。お元気で。

 

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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