B/S(バランスシート)を意識したからといって利益が増えるわけじゃないと考える人は多い。
ところが、 B/S(バランスシート)というのは利益を生む宝の山なのだ。
下記のA社のP/LとB/S(バランスシート)を見ていただきたい。
年商1億3千万円、流動負債2千万円、固定負債7千万円のこの会社は新品・中古のCDやDVD販売の店舗でそのほかにも手広く事業を展開している。
固定資産が7千万円もあることから、店舗は自社所有であると推測できるが、問題はその資金調達だ。
B/S(バランスシート)の右側が資金調達なのだが 負債が9千万円ということは、売上に比べて負債が多く、店舗の建物・土地という固定資産を購入するために借入という負債をかかえたのだと推定できる。
事実、この会社は銀行融資で資金調達し、店舗という固定資産を購入している。
ここまでだったら、べつにどうということもないのだが、同業他社との競争によりP/Lのほうの営業利益が減少し始めたのだ。
この会社の前期の営業利益5百万円、店舗という固定資産購入にかかる借入金7千万円だったが、今期は営業利益百万円となりつつある。
減価償却も50万円ほどなので、今期の営業利益+減価償却では利息を返すと、元金はほんの数万円しか毎月返済できなくなる。毎月数万円返済で7千万円を返すことなど不可能であることは誰でもわかると思う。この会社はこのままの状態では、終わりを迎えたのだ。店舗という不動産を売れば売上減少に大きく影響するし、不動産の実勢価格が簿価よりかなり低ければ売ったところで固定負債という借金がかなり残ることになる。
そこでA社社長は銀行にリスケをお願いに行く。
こんな光景はいまや、どこでも見られる光景となってしまった。
A社社長にしてみれば、どうすれば返済できるようになるのかわからない。
売上を上げるだの、在庫を増やすだの、利益が増えないことばかり考え始める。
そこで、
下図のB/Sをもう一度見てほしい。
この会社の問題点がどこにあるのか?
かんたんに言えば、店舗という固定資産をもったために銀行融資という負債が、事業では返済できないくらいに増えてしまったことにある。
その問題点を修正するためには 固定資産である店舗を売り、銀行融資を返済すればいいのだ。
こういうと「じゃあ、どこでCDやDVDを売るのか? 商売をやめろというのか?」という答えが返ってくる。
そうじゃないのだ。B/Sを修正しえるビジネスモデルにして利益を生むのだ。
たとえば、
FBAといって大口出品者ならかなりの数の商品をかなり安い価格でAmazonの倉庫で預かりAmazonのマーケットプレイスで販売してくれるものがある。発送・資金の回収もAmazonが代行してくれる。大口出品者は毎月4,900円の支払いで、その他もろもろの支払いはあるものの商品管理・発送の経費がかからないなどで、比較的短期で売れそうな商品の選択などできれば、この会社の場合、利益は5倍以上になりそうなのだ。
もちろん Amazonにあった商品の選択や、価格の決定などマーケティングデータによる決定は必要だが、ここまで説明しても それら新しい方法を試す社長と、そうでない社長がいる。
結局、最終的には社長がB/Sから考えることができるかどうかがその会社の命運を決める。