世の中には、参考になる「リーダーシップ論」がたくさんある。
たとえば、ずいぶん以前に講演会でお聞きした新日本製鐵の武田豊(元)会長は、
重要な要素として次の六点を掲げておられた。
(1) 活力 …… そのためには健康がなくてはならない
(2) 強固な意志力
(3) 責任感
(4) 知識力
(5) 包容力
(6) 説得力
リーダーシップの「資質」を考える上で、素晴らしい意見だと思った。
もうひとつのアプローチとして、私は、リーダーを資質ではなく“アクション”面から、「KKMHS」と位置づけいている。
これは、リーダーシップを発揮するために必要な基本的行為である。
「K」=人の意見を聞く
「K」=決める
「M」=任せる
「H」=誉める
「S」=功績を部下のせいにする
読者諸氏は、どう考えるだろうか。
リーダーシップを発揮するには、そのリーダーの資質が大切なことはもとよりだが、
発揮する“相手”によっても、そのやり方は変わってくる。
加えて、発揮する場面も、TPOによって違う。
相手はあくまで性格も育ち方も考え方も異なる人間なのであるから、
総論的にリーダーシップを考えるのではなく「各論」にする必要があるだろう。
海軍の山本五十六のリーダーシップについての有名な歌に
やってみせ いってきかせて させてみてほめてやらねば 人は動かじ
というのがあるが、これはあるレベル中間管理職に対してまでのことだと思う。
いくつもの複数の機能をつかさどるミドル以上の管理職が、
すべての専門機能にわたって「やってみせる」ことは、スーパーマンでもない限り無理な相談だ ろう。
リーダーシップ論であれ、その他の問題であれ、ビジネスの世界では普遍性を伴った「総論」の効用には限度がある。
大切なのは、あなたにとっての「各論」であり、これは試行錯誤を重ねながら自分で創造するほかはない。
新 将命