内閣府の2月14日の発表によると、2010年暦年の日本の名目GDPは前年比1.8%増の479兆2231億円にのぼり、ドル換算では5兆4742億 ドルに相当する。昨年中国のGDPは前年比10.3%増の39兆7983億元で5兆8786億ドルに相当するため、2010年年間ベースで経済規模の日中 逆転が確定した。1968年以来、日本がずっと保ってきた、米国に次ぐ世界第2位の経済大国の席は遂に中国にシフトした。
経済規模の日中逆転に伴って、日本国内の「中国脅威論」は一層台頭することも予想される。しかし、偏った「中国脅威論」は数字もチェックせず裏付けもな い被害妄想に過ぎない。実際は、中国経済は成長すればするほど、日本製品が売れて日本が儲かるのである。これは次の3つの数字によって裏付けられている。
1つ目は日本の対中貿易黒字である。財務省の貿易統計によれば、2010年日本の対中輸出の急増(前年比27.9%増)によって、対中国(香港を含む)の 貿易黒字は09年の2.5倍に相当する3兆2492億円にのぼる。この金額は日本の貿易黒字全体(6兆7664億円)の5割弱にも相当する。国別で日本の 年間貿易黒字が3兆円を超えるのは米国と中国だけである。
2010年時点で、日本の対米国の貿易黒字は4兆4776億円で、確かに対中国よりはまだ多い。しかし、ピークの06年(9兆895億円)に比べれば、実 際は半分以上減少したのである。一方、対中国の貿易黒字はこの4年間(06~10年)で3倍も拡大した。日本の貿易黒字における米中逆転はもう時間の問題 である。
2つ目は日本の対中国(香港を含む)の所得収支黒字である。日本企業が中国に設立した現地法人の配当などからなる「所得収支」は、2010年1~6月期だけで約4050億円の黒字となり、通年では約1兆円にのぼり、5年間で2倍に拡大する見通しである。
「所得収支」とは外国から得た利子・配当や賃金などと、外国へ支払った分の差額をいう。2010年1~6月、日本が中国(香港を含む)から得た配当や利子 収入など直接投資収益の受取額は、世界全体の約22%も占めている。投資先としての中国市場の存在感と魅力は際立っている。
3つ目は中国人観光客が日本国内に落とした消費金額である。2010年、来日した中国人観光客数は前年比40.5%増の141.3万人にのぼり、香港 (50.9万人)を加算すれば、192万人になる。外国観光客の日本国内での消費が平均1人17万円で計算すれば、昨年中国人観光客が日本国内に落とした 消費金額は約3000億円にのぼる。
貿易黒字3.2兆円、所得収支黒字約1兆円、中国観光客の日本国内消費約3000億円、合計約4.5兆円。これは2010年中国市場が日本経済にもたら した、目に見える恩恵である。この3つの数字から、中国経済が成長すればするほど、日本が儲かる構造ははっきり見えてくる。