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経済・株式・資産

第34回  日本初の24時間営業スーパーを20年以上前に開始:「ハローズ」

深読み企業分析

中国・四国地域で食品スーパーを展開するハローズという会社がある。図にある14年間の営業利益成長率は年率で10.0%と高成長を遂げている。しかも2015年2月期の売上高は956億円、営業利益率は3.6%と食品スーパーとしては高水準となっている。そして2016年2月期も10.5%増収、15.6%営業増益と二ケタの増収増益を達成した模様である。
 
必ずしも消費環境が良くない地方を地盤とする会社でありながら、しかも小売業の激戦区と言われる中国・四国地方において、これほどの高い成長性と高い収益性を両立させる秘密はどこにあるのであろうか。
 
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まずは、驚くべきことであるが、食品スーパーとして24時間営業を始めたのは、日本では同社が最初ということである。今でこそ、24時間営業の小売業もそれほど珍しくはないが、同社が24時間営業を開始したのは今から20年以上も前の1994年のことであった。また現時点において東京都では24時間営業のスーパーも珍しくはないが、地方都市となるとそれほど多いわけではなかろう。
 
それにもかかわらず、同社は現在でも全69店舗で全店24時間営業を実施しているのである。しかも、すでに述べたような高い収益性を達成している。東京都内にある24時間営業のスーパーを見ても、夜中の客数はまばらである。おそらく、同社の展開地域でも、東京同様夜中の客数はほとんど期待できないはずである。
 
それにもかかわらず、24時間営業で成長し続けている秘密は、時間帯ごとの人員配備や品揃え、店舗での作業などを緻密にフォーマット化した成果ではないかと考えられる。また、特に地方ではパートの人員を揃えることは困難であると言われているが、そんな環境下でも同社のオペレーションが回っているのは、相対的に従業員・パートの定着率も高めなのではないかと思われる。
 
チェーンストアの成功はいかに効率的なフォーマットを確立できるかにかかっている。同社では24時間営業のフォーマット化も当然ながら、店舗自体のフォーマット化も高レベルにある。同社では店舗展開も80%はNSC(近隣購買型ショッピングセンター)という形で展開している。これは、来店頻度の似通ったドラッグストア、クリーニング、DPE、花屋、ビデオレンタルなどとの業態複合化を図ったショッピングセンターによる展開である。
 
また、同社自体の店舗規模も600坪型、450坪型、300坪型の3タイプのフォーマットを確立しているが、その66%は600坪型となっており、近年の新規店舗はほぼ600坪型となっている。
 
同社では2020年に100店舗、1,500億円の売上を目指し、やがては瀬戸内商勢圏で180店舗、3,000億円を目標として掲げているが、着実にその目標に向かって歩を進めているように見える。
 
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有賀の眼

同社は終わった前期で売上高1,050億円、営業利益40億円の会社である。しかし、仕組み自体は大企業にも決して引けを取らない内容となっている。これはどんなビジネスでも共通のポイントであるが、勝てるフォーマットを構築できるかどうかで、成長の確実性は左右されるものである。
 
特に小売業や外食産業などでは、小規模なうちは収益性が低いが、大規模になればやがて収益性が高くなると考えるのは、間違った考え方である。それで失敗してほとんどの企業が市場から撤退しかけているのが総合スーパーである。これはまさに規模こそ利益という考え違いがスタートとなった大きな失敗例であろう。
 
規模が小さいうちに儲かるフォーマットを確立するから大きくなれるというロジックは決して踏み外してはならないものである。
 

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