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後継者

第31回 後継者をどう育てる

欧米資産家に学ぶ二世教育

ファミリー企業の経営者・オーナーにとって最大の懸案事項は、一体誰を自分の後継者にするか、どうその後継者を育てるかであろう。

まず自分の子供に目星をつける。ただし子供の実力不足で会社が傾いてしまっては元も子もない。では社内若しくは身内以外から選ぶか。『会社を継がせたいならここまでやっておかなくちゃ』の著者で実践経営塾を主宰する小山昇氏は、能力や適性が大事なことは論を待たないが、誰を社長にするかを決める際一番大切なのは「関係者の心理だ」とし、それには「身内」がいいという。幹部社員も「身内ならしょうがない」と諦めやすいし、個人保証をさせている銀行サイドにとっても無難である。更に兄弟の力量にあまり差がないなら、長男にしておけば家族間での納まりもいいというのが主張である。 

ではその社長候補をどう修練させるか。本人の気質、企業の規模や環境次第でいちがいに「これ」と言った秘策があるわけではない。海外でのMBAやファミリー企業講座で有名なインシアード、IMD、ワートン、ハーバード等に留学させることができれば、ファミリー企業独特の、例えば企業のライフサイクル、非親族幹部の処遇、ファミリーガバナンス、継承問題などに対する知識、グローバルな見方や言語の習得等、その後の成長にとってきっと大いに役立つはずだ。 

留学後もすぐ自社に入れず一度は他企業への武者修行に出すケースが多い。「従業員の気持ちがわかるようにするため」「本当の自力を試す」「自社を継げない場合に備えて馴染みのある分野をつくっておく」など理由は様々である。だからまた就職先も様々である。「テリトリーの異なる同業・同規模の会社で修業すれば即戦力がつく」、「先進的なやり方を学ばせたいから付き合いのある大企業だ」、「人脈づくりを考えて銀行だ」、「倒産寸前の中小企業に入れば資金繰りも含め強烈な体験ができる」、「新規会社を作って経営を任せる」、といった具合である。

しかし、これといった決定的なモデルがあるわけではなく、其々成功例も失敗例もある。ただ取引先や関連会社への就職は「お客様扱いされるから」避けた方がいい。

榊原節子

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