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第78回 21世紀は非営利の時代━有償ボランティア

欧米資産家に学ぶ二世教育

最近の若い起業家達と話していると、起業の動機が、途上国の貧しさ、恵まれない子供達の悲惨さなど、社会的な関心事に起因しているケースが結構多い。学生時代にボランティアに励んだ人達も沢山いる。

ドラッカーは「21世紀は非営利の時代だ」と言ったと記憶しているが、最近とみに営利活動と、非営利活動が歩み寄ってきた感がある。営利事業では社会的責任、地域社会への貢献が問われる。他方、非営利活動においては活動のサステイナビリティ、事業計画がしっかりしていること、資金の効率的活用が云々されるし、説明責任も問われる。
となると、元気な元ビジネスマンがそのノウハウを発揮する場が整えられているともいえるし、彼等が大挙して参加してくれればNPO運動は力強さを増すに違いない。
 
財政赤字、超高齢社会の真っただ中にいる日本は、そうしたボランティア的な活力なしには生き残れないのではないかと思うのだが、いまいち盛り上がってこない。多くの人がボランティアには興味を有しつつも二の足を踏んでいる。理由の一ひとつに、持ち出しまでして・・という経済的背景がある。
 
ボランティアをするなら無償奉仕でないとおかしいという意見は理解できる。でも、私は日本では有償ボランティアの組織化がベストチョイスではないかと思う。それは経済的な理由だけではない。
子どものころから慣れ親しんでいる文化圏と違い、日本のボランティアの歴史はまだ浅い。だからボランティアに対し「本当にあの人は来るかな、当てになるかな」と差配をする人は不安になるという。実際、体の調子が悪いとかで来ないこともあるから、それなら始めからきちんと対価を支払った方が安心だということになる。サービスを受ける側も「無料だと申し訳ないから」という気持ちが強い。
 
市場よりは低めに設定した有償ボランティアにしたらどうなのだろうか。役に立ちたい気持ちはあっても無償いのうえ持ち出しとなると腰が引ける。勿論それを本職にしている人達に差しさわりがあるといけないから、サービスの棲み分けは必要だろう。例えば介護に関していえば、保険でカバーされていない分野での有償ボランテァイなどは一案であろう。
 
いずれにせよ、今後の経営者には、会社としての社会貢献が求められるし、社員のボランティア活動へのバックアップも期待されよう。そして何よりもその根源にあるボランティア精神の理解が不可欠となろう。
 

                             ライフスタイルアドバイザー 榊原節子

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