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後継者

第79回 経営者に求められる社会貢献のノウハウ

欧米資産家に学ぶ二世教育

今後の経営者には、会社として、また個人としても社会貢献活動が益々求められるであろうと前回述べた。今回は社会貢献におけるいくつかの注意点に触れたい。私たち日本人の場合、宗教や両親の教えにより、幼児期より奉仕やボランティアの精神を身に着ける人は限られており、改めて学習する必要があると思うからである。

たしかに経営者、後継者の中にはJC(日本青年会議所)やロータリークラブ等、社会貢献や奉仕活動を行う団体に属している人は多いかもしれない。しかし一体何人が、「そもそも何故慈善、ボランティア、社会貢献を行うのか」、歴史的な背景や最近の傾向、精神的なバックグラウンドにまで想いをはせるであろうか?奉仕団体に入会したからとて、新たな人間性の側面を開発させることなく、会社組織同様の組織運営を行い、折角の「意味ある自分」を見出す機会を見逃しているのではないだろうか。

日本では何故か、社会奉仕をしたり、寄付をする人は「偽善者」、「売名行為」とみなす傾向があるようだ。大々的に慈善事業を展開した人は多かれ少なかれそうした批判に晒された経験があるという。若者の場合なら「就職に有利だからやっているのだろう」という斜に構えたコメントがされる。

欧米に比べ、「寄付先の資金用途に対するチェックが甘い」と批判されることも多い。寄付した段階で関心が薄れてしまう傾向があるようだ。「寄付という善行」をしたのでそれで十分というわけにはいかないのである。

寄付先のお金の使い方に目を光らせることで、貴重な資金が中間搾取されたり、職員の飲み食いに消えてしまうことなく、速やかに本来の目的のため使われるのを促すことができるのだ。だからこれは寄付者の義務ですらある。この点は渡米後社会貢献活動の修行を積んだプロ野球のイチローも力説している。寄付を受けた側には厳しいは説明責任が課されるのが、昨今の状況である。

東日本大震災のとき外国の友人達から「一体どこに寄付をしたらいいだろうか」という問い合わせを受けた。赤十字のような大組織ではなく、「寄付金がいつ、どこに、どのように使われるかはっきりしているところはないだろうか」という主旨であった。

多くの先人が指摘しているように、善行は時に社会に害を与えてしまう。配慮のない単なる金のバラマキは勤労意欲を失わせてしまい、場合によっては不平等感が生じて争いを起こしてしまう。上から目線の行為は心を傷つけてしまう。

とはいえ各種調査で示されているように、自分の事ばかり考えている人より、社会のため、他人のために考えている人の方が幸せ感が強く、「人とのきずな」に恵まれ、目的意識を持ちやすい。これは組織とて同じことだと思う。

経済成長もさることながら、どう個人(社員)として充実した生活を送ることができるか、が今後大きなポイントになっていくように思う。そしてそれには社会貢献活動が欠かせない。

                             ライフスタイルアドバイザー 榊原節子

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