其の三十九 リスクのクスリはここにある
リスクのない事業はありません。鉱山事業を行っていた時、リスクは1000を超えていました。しかし、それでも不足していました。自分の命が狙われることまでは考えていなかったのです。
よく、人は言います。「命までは取られないと」
弁護士もそう言っていました。
しかし、現実は2回も命を狙われてしまいました。
そんなことも実際にはあるものです。
弁護士は、「まさか」と言っていましたが、法律ですべて解決できると思っていたら大きな間違いを引き起こしてしまいます。
そうなったとき、弁護士は、法的には問題はなかったと自分の「法」という殻に閉じこもり、責任転嫁していきます。
なかには、うちの事業にリスクなんてありませんと豪語する社長もいますが、そんな社長の存在が一番、リスクです。
前回の続きですが、持たなければ、リスクは激減します。
ということは、持つという行為をやめればなくなることになります。
日本人はつくづくすごいと思うことがよくあります。特に中小企業の社長の技術力はすごいものがあります。
ある社長にこんなことを言ったことがありました。
「私は、自分の意思に基づかない支出がある時は、いつも生活に不満を抱えていました。しかし、自分の意思に基づかない支出の割合が少なくなりますと、とても快適な生活を送れるのです」
私自身、自分の意思に基づかないトップは税金。次に水道光熱費、そして交通費です。
「電気代がかからない街を創りたい」
そんな話をしますと「できますよ」と中小企業の社長。
各家庭や工場そして事務所等にこの発電機を設置すれば、ランニングコストはなくなるというのです。
もちろん、その社長は特許を取得しています。
さて、ここからが本題です。
この社長。現在、行方がわかりません。携帯も通じず、会社にも自宅にもいません。
その筋の人に言わせればよくあることらしいのです。
この社長は、いろんな人にこの技術の話をしたらしく、また、それにより、資金を集めたということです。
中小企業は資金力がありません。どうしても、開発途上で資金が枯渇してしまいます。
そこに、あやしいブローカーたちが近寄ってきます。そして食い物にしていきます。
最悪は、この社長のようになるのです。
社長や開発した技術が悪いわけではもちろんありません。
技術を持っているがゆえ、近寄ってきた人が悪かったのです。
こんな時、どのようにして身を守るべきでしょうか。
特許は個人で持つのではなく、信頼のおける財団法人等で持つべきなのです。
本来、技術は人の中にありますから、これだけでは不十分です。
投資は事業ではなく人にするものという考えがあります。事業は失敗することもありますが、必ず何かをやり遂げる人間はたとえ一度や二度、事業に失敗したとしても、必ず這い上がってくるからです。
だから人に投資をすればいつかは成功するという考えです。
投資を受けられる人は、将来の財産のイメージはつけているものです。つまり会社の価値です。
会社の価値、つまり財産は、資産から負債を差し引いて計算されます。
5年後に財産を10億円にする。その際、総資産は25億で負債は15億。そして上場することで負債を減少させ、更に財産を増大させる・・・
少しアバウトではありますが、このくらいのイメージは持っているものです。
経営の土台はバランスシートです。そして経営は結果を求められます。その結果は、バランスシートなのです。その結果をイメージできずに経営はできません。
だから、予想のバランスシートがない以上、投資は困難となってきます。
投資が融資と一番大きく違うのは、返済されることのない資金を投入するという点です。当然、融資より何十倍もリスクが高くなります。
ではなぜ投資をするのかといいますと、やはり、投資先が株式公開をしたときのキャピタルゲインが獲得できるからです。
しかし、株式公開できる保証はありません。まさに、ハイリスクハイリターンの世界です。もちろん証券市場が落ち込み、株価が低迷したときに投資先が上場しますと、新規上場株式といえど、株価は思うように上昇しません。ハイリターンは期待できなくなります。このような環境においてはどうしても投資は手控えざるをえなくなります。
投資の資金がファンドであれば、投資家から資金を任されて運用しているため、安易な投資による失敗は許されません。
だから、融資よりリスクに対する考えが厳しくなってきます。もちろん投資を行う側も、一攫千金を狙っているため、多少のことは目を瞑ることも多々あります。
しかし、予想のバランスシートもなく、その理解もなければ投資は投機に代わることになります。
今一度、自社のリスクを最低でも10個、箇条書きにしてみてはいかがですか。