日本の社会には少しのリスクも許すまじという空気がある。だから行政も企業もリスクを隠そうとする。原子力発電も絶対安全というインプットのみを国民に与えた。しかしこの世に絶対ということはない。それを無理してでも絶対安全な体制にしようとすると、非現実的なほどのコストがかかる。それでも想定外のリスクには対応できない。
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- 第94回 リスクやストレスは喜んで引き受けよう!
経営者としては種々のリスクを想定しそれらに備えることは必要だが、恐れや恐怖の感情に支配され、リスクを避けようとすると、内向きになり、積極策が取れない。社員への影響もよくない。 投資についても言えることだが、リスクを取らなければリターンは享受できないのである。リスクの語源はイタリア語のリスケール、「勇気をもって試みる」である。リスクを認識しつつもそれを喜んで引き受けることで、心理的にも前向きになれ、道も開けてくるのではないだろうか。
起業家はリスクを取り続けている人のように見えるかもしれないが、恐怖心もあれば心配もする。しかし、他方でその恐怖や不安感をコントロールする術を身につけている人が多いように思える。その方法は人さまざまで、自分を信じる、スポーツを通してタフさを身に着ける、運命や神を信じる、などなど。そして勇気をふりしぼって前に進んで成功を手にすることができるのである。
ストレスしかりで、避けようとしたり、酒などで紛らわせようとすると逆効果になってしまう。極端な場合は人とのつながりを恐れ、新しいことは避けるようになり、よい機会を逃すだけでなく、人生に対する満足感や幸福感が著しく低下してしまう。ストレスを避けたためにかえってうつ病になったりする。
リスク同様「マインドセット」つまり物の見方を変え、これを「チャレンジ」、「成長の絶好の機会」と捉えればストレスを力に変えていくことができる。例えばゴルフの試合で大事な場面、緊張して心臓はドキドキ、体内でアドレナリン等が分泌される状態を「失敗したらどうしよう、逃げてしまいたいくらいだ」と思えば、体が硬直してミスがでる。でも「みんなの前でこんな機会があるなんでワクワクするな」と思えば却って普段よりよい素晴らしいショットが出たりするものである。
実際、学生を対象とした調査でも「試験に際して、リラックスしているより、アドレナリンが出て緊張している(ストレスがかかっている)方がよい成績が出た」そうだ。
ライフスタイルアドバイザー 榊原節子