今回はフェーズ8の「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』の4項目の中の第2項目である『 モデルルーム住戸がティピカルタイプ住戸でない場合は注意が必要。 』に関してのお話を致します。
前回はフェーズ8「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』4項目の最初である1番目に大切なポイント、『 モデルルーム及びモデルハウスのオプション満艦飾は避ける事。 』のお話を致しました。「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』で1番目に重要なのは『モデルルーム及びモデルハウスのオプション満艦飾は避ける事。』です。前回のおさらいを致しますと「 モノづくり 」の重要な事は「 戸建団地 」や「 分譲マンション 」を分譲致します時に、往々にしてモデルハウスやモデルルームを作る際、過剰なオプション工事を施していますがその事に警鐘を鳴らせました。この事は、顧客に豪華な印象を与えて購入に結び付ける方策の一つですが、これは売主の信用を無くす危険性が大だというお話を致しました。
さて、前回と同様に今回も建築家の私が最も得意とする「 モノづくり 」の「 こだわり 」についてのお話を致します。
このコラムで、いつも申し上げていますが、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとってはこれから分譲予定物件の「 モノづくり 」はとても重要で良い商品を作りつづけますと会社の信用も高まり有名な「 ブランド 」にもなってきます。
ですので、今回のタイトルは「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』の4項目の第2項目である『 モデルルーム住戸がティピカルタイプ住戸でない場合は注意が必要。 』と致しました。今回も私が手がけました今迄の分譲マンションや建売戸建等の設計業務の経験に基づいた大切なお話です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々に『 モデルルーム住戸がティピカルタイプ住戸でない場合は注意が必要。 』の重要さを具体的に御説明させて戴きます。
毎回、申し上げていますが、私は2000年に体調を崩し「 東急設計コンサルタント 」の設計部長を辞し退職致しました。そして、2002年に「 碓井建築オフィス 」を設立し、現在までに十数社の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの分譲マンションや建売戸建団地等の商品企画のコンサルティングや設計監修を数多く行っています。また、購入者向けに「 購入相談 」「現地同行チェック」や「 内覧会同行チェック 」も行っていますので購入予定者や購入者の生の声を沢山聞いておりこのコラムに反映させております。尚、現在の業務経験や「 東急設計コンサルタント 」在籍中に数多くのマンションの設計・監理の経験やクレームに対峙した経験が現在では私の大きな財産なのです。
これらの業務や経験を踏まえて、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの商品企画部門のメンバーの方々に申し上げたいのは、今回も販売する商品にかかわる重要な事ですので、商品企画部門のメンバーの方々のみでなく販売担当の方々にも是非御読みいただきたい大切な内容だと言う事です。
今回の「 モノづくり 」の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』の4項目の中の、第2項目である『 モデルルーム住戸がティピカルタイプ住戸でない場合は注意が必要。 』も非常に大切で会社の信用にかかわる事です。
まず「 ティピカルタイプ住戸 」という言葉を御存知では無い方もいらっしゃると思いますので「 ティピカルタイプ住戸 」の意味を御説明致します。
「 ティピカルタイプ住戸 」とは、「 戸建団地 」や「 分譲マンション 」の商品計画時点にコンセプトを作成致します。このコンセプトに基いた代表的な間取り住戸で、一番戸数が多い中住戸タイプの事を我々設計者は「 ティピカルタイプ住戸 」と呼んでいます。
『 モデルルーム住戸がティピカルタイプ住戸でない場合は注意が必要。 』の大きな理由は、最近のモデルハウスやモデルルームは、その物件の中の一番広いタイプか、分譲マンションの場合は最上階の広い住戸タイプか、妻側(角部屋)の住戸タイプがほとんどだからなのです。
大方の顧客はモデルハウスやモデルルームでこのような広くて明るい住戸を見学した後に自分の予算に合わせて中住戸のティピカルタイプ住戸等を購入し契約しているのが実情です。
それらのモデルハウスやモデルルームは「 ティピカルタイプ住戸 」より、リビング・ダイニングルーム、キッチン、浴室、洗面脱衣室等がワンランク上の広さで仕上げも上等なのです。
顧客が購入しようとする住戸は販売パンフレット内の図面集の間取り図で平面的にしか分りません。ですので空間のイメージはつかめませんから販売員にどの様な空間になるのかを尋ねます。そうしますと大抵の販売員の説明は「 お客様の購入予定住戸の各部屋はモデルルームより多少狭いですがほとんど変わりませんから…」と言って契約に結び付けようと致します。私は本来もっと具体的に説明すべきだと思っています。
モデルルームで広い、良い空間イメージに夢心地にさせて、異なる住戸タイプを単に間取り図を見せて購入契約につなげてしまうのですから、問題が起きても不思議ではありません。
約1年後に内覧会等で、初めて我が住戸の空間を実際に見まして、夢から醒め意気消沈になってしまうのです。顧客が想像していたより実際の空間は狭いですし、イメージも違って見えてしまうのです。
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々に特に申し上げたいのは、モデルルームやモデルハウスは「 ティピカルタイプ住戸 」にすべきです。
先程申し上げたその物件の中の一番広いタイプか、分譲マンションの場合では最上階のタイプか、妻側(角部屋)のタイプをモデルハウスやモデルルームにするのであれば、販売員を良く教育し、顧客の購入しようとする住戸タイプとどの様に異なるかを、細かく具体的に説明できる様にして下さい。
この様な事を行なっていますと準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは直ぐに信用を落としてかねません。
不動産事業で一番大切なのは自社の信用です。
信用を落とすのは一瞬ですが、再度築くには最低10年はかかります。肝に銘じて下さい。
次回は今回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」第1項目の『 モデルルーム、モデルハウスのポイント 』の4項目の第3項目である『 戸建のモデルハウスは参考です…程度にする事 』に関してのお話を致します。
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。