フランスの高級ブランドのシャネル (CHANEL)が、日本と繋がりを深め、ブランドの伝統と革新性を伝える2つの企画を東京で行なっている。
シャネルは日本では「シャネル・バッグ」や、香水の「No.5(シャネルの5番)」などが有名だが、創業者で女性デザイナーのココ・シャネルが1910年にパリに帽子店を開いたのが始まりで、その後、洋服、アクセサリー、香水なども出していった。
当時はフランスでも女性の社会進出は遅れ、男女の服装は大きく異なっていた。特に上流階級の女性達はコルセットなどで体を締め付け、機能性に乏しく、過度に装飾された帽子や洋服を着ていた。
シャネルは、「女性が美しく、そして力強く表現されること、女のからだと心を解放する」を信条に、若い頃から男性用のシャツや乗馬ズボンをアレンジして、自分で着用していた。
第2次大戦前後の時期はブティックを閉鎖していたが、終戦から10年後に70歳で再開、イギリスの紳士服の素材(ツイード)や、仕立てを女性服に応用した合理的でエレガントなデザインの「シャネル・スーツ」が、当時女性の社会進出が進んだアメリカで熱狂的に受け入れられた。
喪服のみに用いられていた「黒」を、シンプルでエレガンスを追求するファッションとして初めて用い、下着としてしか使われていなかったジャージ素材を使用したドレス、女性がパンツ(ズボン)を履くスタイルや、ショルダーバッグなども生み出している。
ココ・シャネルの死後は、カール・ラガーフェルドが1983年から現在まで主任デザイナーに就任し、伝統を守りつつ、時代にあった革新性も取り入れている。
■東京 ポップアップ ブティック
東京で開催中の「東京 ポップアップ ブティック」は、中庭やシャレー風の小屋で構成された2フロア、300m2の秘密の隠れ家のような期間限定のブティックで、店内には、2012年春夏プレタポルテコレクションでカール・ラガーフェルドが表現した詩情あふれる世界観を受け、ミステリアスな海の魅力が表現されている。
洋服、アクセサリー、ここでしか買えない300万円以上の貝を模したバッグなどが販売されているが、お店というよりは展覧会場といった雰囲気だ。
特に離れの小屋では、クラゲの泳ぎのように上下に緩やかに動く天井から吊るされたスーツやドレスが、海の中のようないろいろな光に照らされて、それぞれ違った表情を見せていて美しかった。
■写真展・リトル ブラック ジャケット
同じ時期に行われている、カール・ラガーフェルド撮影による写真展「リトル ブラック ジャケット(The Little Black Jacket: Chanel's classic revisited by Karl Lagerfeld and Carine Roitfeld )は、100点以上の写真を通してシャネルが生み出した黒いジャケットへの敬意と賞賛を表し、それを男性や子どもも含めたいろいろな人に着せた写真を展示している。
撮影の時にカール・ラガーフェルドは、「シャネルのジャケットは、エレガンスや女性らしさの象徴になりました。気取らない雰囲気があり、クラシックで、時代を超越している、いわゆる永遠の定番なのです」と話しているが、女性ものであるシャネルジャケットがどの人にも似合っていて、これが「定番」というのだと改めて感じた。
2つの企画は女性の時代の幕開けに貢献したシャネルをブランドやファッションという面だけでなく、幅広い観点から考えるきっかけになった。
======== DATA =========
●シャネル・ニュース
http://chanel-news.chanel.com/ja_JP/
●東京 ポップアップ ブティック
http://www.chanel.jp/chanelandjapan/boutique.html
期間:2012年3月24日(土)~4月15日(日)
所在地:東京都渋谷区神宮前5-11-5 BA-TSU ART GALLERY
営業時間:平日11:00~19:00、土日11:00~20:00
問い合わせ:Tel.0120-525-195
●写真展・リトル ブラック ジャケット
http://www.chanel.jp/chanelandjapan/jacket.html
期間:2012年3月24日(土)~4月15日(日)
営業時間:平日11:00~19:00、土日11:00~20:00
所在地:東京都渋谷区南青山5-4-48 Gビル南青山
入場無料