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- 第31回 BYD
日本経営合理化協会の中国広州、深セン視察ツアーで、中国のIT先端企業などを訪問してお話を伺ってきた。
その中で、現在深センで走っているタクシーの90%以上になっている、青いボディのEV車(電気自動車)を製造しているBYD(比亜迪)社を訪問し、会社の経緯からEV車の試乗までいろいろな体験をさせていただいた。
BYD社は22人のニッケルバッテリーメーカーとして1995年にスタート、当時はおもちゃ用の電池などを製造していたそうだが、1998年には海外にも工場を作り、2002年に当時世界最大の携帯電話端末メーカーだったノキアにも、中国企業で初めての部品供給となるリチウムイオン電池を供給した。
その後2008年に中国一の電池メーカーとなり、現在では中国のスマートフォンの10台に1台にはBYDのバッテリーが使われている。
2003年に、国営自動車工場の西安秦川自動車の株を77%取得して買収し自動車製造を開始、今ではEV販売台数で世界一となっている。
自動車製造では最初はガソリンエンジン車からスタートし、三菱の1.6Lエンジンを積んだ「F3」という小型車が大ヒットしたことをきっかけに成長、アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェットがその将来性を見て、2008年に18億香港ドル(243億円)を出資してBYD株の10%弱を取得している。
また、2008年12月にはプリウスPHVより約3年早く、世界初の量産型プラグインハイブリッド「F3DM」も発売している。
EV車では2017年に約11万台を販売して世界一となり、昨年も22万台で世界一売れているEVメーカーの地位を保っている。
深セン工場の一角にある自動車展示室には最新の車が数多く展示されていたが、車名が「唐」(SUV)、「宋」(SUV)、「秦」(中型セダン)など、中国の歴代王朝の名前がつけられていた。
EV車を工場内で試乗してみたが、出足もよく運転もしやすかったが、停車後に社外に出て小型リモコンでも操作できる機能もついていた。
EV車に関しては中国国内では政府のエコカー補助金減額の影響も出ていることから、最近は世界60カ国に輸出しており、日本でも京都のバス路線で5台が運行している。
また、2017年からは交通インフラとして都市モノレール事業にも進出、我々が訪問した深セン工場内の移動手段として使われていたし、中国中北部の銀川市で既に運行している。
安徽省の農家に生まれた王傳福(おう でんぷく)氏が創業し、電池やEV車の分野で急成長したBYDは、まさにチャイナドリーム企業だった。