デジタルアートやデジタルビデオなど、コピー(複製)が簡単にできるデジタルコンテンツにブロックチェーン技術を使って所有権を設定するNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)は、昨年から高額の取引などが報じられ話題となった。
2021年3月に仏クリスティーズのオークションでBeeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)作の「Everydays: The First 5000 Days」というNFTアート作品が6,930万ドル(当時75億円)で落札され、2022年2月には「CryptoPunk #5822」が2,370万ドル(当時27億円)で販売されるなど、高額取引が多数出現した。
NFT取引は2021年8月以降急増し2022年1月がピークとなったが、2022年6月から急減、世界最大手のNFT取引場所であるOpenSeaの取引高は、5月のピークの日から見ると99%減少し、NFTバブルは崩壊した。
これは「コロナバブル崩壊」の一つの形で、昨年クリスティーズ・オークションで「Everydays: The First 5000 Days」を落札したのは、世界最大のNFTファンドMetapurse創設者・Metakovan(メタコヴァン)氏、今年「CryptoPunk #5822」を購入したのは、ブロックチェーンのテクノロジー会社「Chain」CEOのDeepak Thapliyal(ディパク・サプリヤル)氏で、コロナバブルで値上がりした暗号資産(仮想通貨)などで儲けた人達が投機的にNFTバブルを生み出し、コロナバブルの解消により暗号資産、株式市場と同様にNFTも下落したと考えている。
■NFT鳴門美術館
日本経営合理化協会の「徳島・淡路島視察ツアー」で訪問した「NFT鳴門美術館」の山口代表理事は、「入場料収入に頼らない美術館運営」を考え、美術品やアート作品に関するNFTの発行、審査、販売(一次販売)、流通(二次販売)なども手掛けている。
一般的に美術館は30~40%の入場料収入と50~60%の国や自治体からの助成金で運営され、赤字の所が多いようだが、「NFT鳴門美術館」は今年3月の開館以来黒字で推移しているという。
最近ではジャクソンファミリー財団日本支部(JFFJ)と「マイケル・ジャクソンの不思議なオモチャ箱(MJWWT)」という公式NFTの提供も始めている。
これはNFTを購入するとメタバース内などで使えるオリジナル画像をランダムに1つをもらうことができ、今後は自分の作品の優先展示や割引などにも使用できる会員証のようなものにもなるという。
NFTバブルは崩壊したが、NFTの本格的な活用はこれから始まりそうだ。
======== DATA =========
●NFT鳴門美術館
http://nftjp.org
●ジャクソンファミリー財団ジャパン
http://jffj.jp/index.html