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- 第78回 1人1台端末(GIGAスクール)
新型コロナウイルス感染拡大により、昨年度は学校に登校できない状況が生まれ、通信ネットワークを介した授業などが急遽行われたが、地域、学校ごとに対応の差が出た。
児童生徒に1人1台の端末と高速大容量通信を整備して、創造性を育む教育を実現するための「GIGAスクール(Global and Innovation Gateway for All)」構想は、2019年度から2023年度までの計画だったが、昨年4月に早期実現を目指して「1人1台端末」整備の前倒しが進められ、昨年度中に全自治体の97.6 %にあたる1,769市町村で配布が完了した。
■先進事例
2021年6月に東京で行われた「NEW EDUCATION EXPO 2021」の「GIGAスクールで変わる新しい学び」というセッションは、オンラインで「全国ICT教育首長協議会」の市町村長により、それぞれの先進事例が紹介された。
熊本県山江村(内山村長)は小学校2校、中学校1校の人口3,400人ほどの栗が名産の山間村だが、2011年から教育のICT化を進めており今年で10年になる。
2014年の時点でデジタル教科書の活用を行っており、全国学力調査でも学力の向上が確認されている。
2020年7月の「熊本豪雨」時は河川の氾濫と土砂災害があったが、その後に「鎮山親水」をスローガンに、球磨川の川上の山江村と川下の学校とでオンラインで遠隔交流も行っている。
長野県下伊那郡喬木村(市瀬村長)も小学校2校、中学校1校の人口6,000人ほどの村だが、2015年にふるさと納税の税収を活用して中学校に一人一台のタブレットPCを整備、村費でICT支援員3人を整備している先進地域だ。
端末運用の共通認識「デジタルとうまく付き合っていこう」を作り、子ども・保護者の同意の元に端末の持ち帰りを行い、キーボード入力にも力を入れている。
デジタル教科書による個別最適な学びを推進、村には外国人がいないため、ネットを介してネイティブ講師と1対1の英会話も行っている。
教科書で学んだ活動を日常生活に活かす取り組みでも、休み時間や家庭で、生徒が企画書を同時共同編集して作成、それを先生がリアルタイムにチェックしてコメントができ、企業のリモート作業と同じ状況が作られている。
このセッションでは、他にも佐賀県多久市(横尾市長)、福島県郡山市(品川市長)などからも事例紹介が行われたが、ICT教育の先端事例は都会よりむしろ地方にあることに驚かされた。
世界でもICT教育の最先端とされるのは、フィンランドなどの北欧や小国のエストニアなどであり、こういった地域の方が子ども達の教育の重要性を認識できるのかも知れない。
======== DATA =========
●全国ICT教育首長協議会
●熊本県山江村
●長野県下伊那郡喬木村
●長野県下伊那郡喬木村・2020日本ICT教育アワード・総務大臣賞 プレゼン
●長野県下伊那郡喬木村・デジタルとうまく付き合っていこう
●NEW EDUCATION EXPO 2021