■ステルスモード
シリコンバレーのスタートアップ企業の中には「ステルスモード(Stealth Mode)」と呼ばれる、自社のサービスや製品を外部に公表しないまま事業を進めるタイプの会社がある。
このような形態のスタートアップ企業は、自社の画期的なアイデアを他社に盗まれないことや、ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達情報を公表しないことで注目されるのを避けるなどの利点はあるが、秘密にしていることが不安を抱えていると解釈されたり、秘密保持契約(NDA)を交わすことが相手を信用していないというネガティブな感情を与えてしまう場合もあり、賛否両論ある。
コーポレートクレジットカードを提供するBrexの「2018 State of Startup Spend Report」によると、ステルスモードのスタートアップへの投資は2018年に14億3,000万ドル(1,600億円)、その3/4は起業前の段階で、初期段階でアイデアを隠して起業準備をしている場合が多いことが伺われる。
また、ステルスモードのスタートアップへの投資はベンチャーキャピタルの投資総額の3~5%と少ないが、ステルスモードからスタートした企業でも、起業直後の段階では80億ドル(9,000億円)、起業後期には700億ドル(8兆円)の投資を受けている。
■GLYDWAYS
日本経営合理化協会のシリコンバレー視察ツアーで、今回もいろいろなスタートアップ企業を訪問してきたが、中にはこのような「ステルスモード」企業も含まれている。
画期的な21世紀の交通インフラを提供する「GLYDWAYS」も、以前は「ステルスモード」だった企業だ。
ここのシステムはアップル、グーグル、フェイスブックなどの急成長により慢性化しているシリコンバレーの交通渋滞を解消する期待がもたれている。
「GLYDWAYS」は「分散型」で、「コンティニアス・スロー(ゆっくりだが止まらない)」というコンセプトのもと、自転車道の幅の専用軌道を作り、その上を2人乗りの自動運転電気コミューター(車両)がノンストップで運行する輸送システムにより、1時間に1万人の輸送を提供する。
当面は私有地内からはじめ、それを都市交通に延伸することを考えているようだが、シリコンバレーではFacebookやGoogle、日本ではMGM(カジノプロジェクト内)と話をするなど、サンフランシスコ湾(ベイエリア)だけでなく、日本の京都や大阪など世界26都市が注目する新しい都市インフラで、正式発表されると大きな話題になりそうだ。
======== DATA =========
●2018 Stealth Capital Report
●GLYDWAYS
●GLYDWAYS(日本語ページ:旧社名)