「前回の会議以降、自分の部門の売上計上の仕方や、経費の内容を少しずつではありますが、
理解してもらえるようになりました。
しかし、これだけを理解しても意味がありません。要は利益を出さなければならないのです。
ところが、経営会議では平然と"今月は赤字になりました"と言う社員がいます。
どうすればいいのでしょうか?」
第三回の経営会議を控えた社長に、こんな悩みが生じました。
第三回の経営会議では、一歩進めて「どうすれば、利益が出るのか」を発表してもらいます。
部門の責任者は、前月の実績を発表した後、今月はどうして利益を出すかを
具体的に語らなければなりません。
前回の問題点を分析し、それをどのように解決し、明日につなげるかを発表するのです。
経営会議はそうした真剣勝負の場ですから、
平然と他人事のように「赤字です。すみません」と言う社員を放っておくわけにはいきません。
そんな発言に対しては、強烈な突っ込みを入れることが必要なのです。
赤字は数字のマイナスではなく、「その分お金が足らないんだ」ということを
分かってもらわなければなりません。
そのため会議のリーダーは、
「数字の中に魂を入れろ」「ど真剣に数字を見ろ」など、
厳しい口調で突っ込む必要があるのです。
しかし、何も難しいことを言っているのではありません。
どんな社員でも、自分の家計簿の帳尻はしっかり合わせています。
赤字になりそうになったら、当然支出を減らします。
このことに気付いてもらうために
「部門のお金は、自分のお金と同じなんだ。自分の家計簿だと思え」
と繰り返さなければなりません。
すぐには無理かもしれませんが、こうした突っ込みを続けているうちに、社員の中に
「これまでは赤字と言われても、数字のマイナスとしか思っていなかった。
しかし、それではいけないんだ。赤字ということはそれだけお金がなくなっているんだ。
自分の家計簿だったら誰かに頭を下げてお金を借りなければならないんだ」
と発言するものが出てくるのです。
そして、こうした発言が徐々に全体に波及していき、
「何としてでも赤字を解消しなければならない」という流れが会議の中に生れてくるのです。
その結果、
「利益を出すには、売上を最大に、経費を最小にする以外にはない」
ということに行き着きます。
そして、社員自らが経理担当者に「この経費の中身は何ですか?」と聞き出し、
「それなら、この経費は何とか減らすことができるぞ」と考えるようになります。
このように、経営会議を重ねていけば、社員は確実に成長していき、
会社の利益に貢献するようになるのです。