※本コラムは2022年7月の繁栄への着眼点を掲載したものです。
●加速度的な変化
この20年で世界は信じられないくらい変化をした。
先日、京都で440年の歴史を持つ老舗の料亭、平八茶屋の21代目の園部晋吾社長と打ち合わせをした。翌日、朝から事業発展計画発表会を控えていたが、どうしてもその前に打ち合わせをしたいということで、お店が終わってからホテルに来てもらいBARで飲みながら話を聴いた。
その時、私が飲んだウイスキーはブッシュミルズというアイリッシュだった。思えば97年に園部さんがアイルランドに私の店を手伝いに来てくれたのが縁だった。帰国してからアイリッシュを飲もうとしても当時の日本では扱っているお店は少なく、寂しい思いもした。
しかし、時代は変わり楽天などで数クリックで買えるようになった。そして翌日には自宅に届く。苦労してスーツケースで持ち帰っていた頃を考えると夢のようだ。
世界を変えているのは「交通網」と「情報網」だ。いままでの変化を考えると、これからの変化はさらに激しくなるだろう。衣・食・住は過渡期をむかえる。
●新しい技術
iPhoneが日本で登場したのは2008年だった。その前にiPod touchとしてプロトタイプが生まれた。私も持っていた。「これに電話機能が組み合わさる」そう聞いてもにわかに信じられなかった。しかし、いま現実となっている。それだけではなく、「スマホが無ければ生活が難しい」とまで言われるようになってしまった。そこまで数えきれない業種が組み合わさっている。
これからはAIもそうだろう。医療であったり、学問であったり、その組み合わせは日本にとって急務である。
●家電の進化
IoTという言葉が流行った。全てとネットを繋げるというものだ。当時は「IoT家電」など各社争って作っていたが、いまでは忘れるほど聞かなくなった。しかし、時代が追いついてなかっただけで、これから間違いなく出てくるだろう。
家にある全ての家電が繋がり、音声でコントロール出来る。そして外からでも手元にあるスマホで操作できる。
●店舗の無人化・少人化
全てではないが間違いなく増えるだろう。2009年にシアトルで見たAmazon GO、そしてこのコロナ禍で出てきたAmazon Fresh。
欧米では皆、週末などに一週間分の買い物をする。大きいカートに一杯に商品を入れキャッシャーに並ぶ。あまりに点数が多いので、キャッシャーでは15分20分待ちなんてざらだ。このストレスから解放されるのだ。このニーズは大きい。日本でもそうなるだろう。
●広報の重要性
最近のテレビのリモコンにはYouTubeのボタンがある。今後、テレビはどうなるのだろうか。私が中学生、高校生の時、コンポが大流行した。各メーカーの最新のパンフレットをもらってきて学校で休み時間に盛り上がったものだ、やれ「スピーカーの下にレンガを置くと音質が良くなる」などと都市伝説みたいな話もした。
そこから、CDが生まれミニコンポの到来があった。CDは音質も最高だった。
しかし、いまCDで音楽を聴く人は増えているだろうか。人々はスマホにダウンロードした曲をBluetoothでワイヤレスイヤホンに繋げて聴くようになった。車もCDプレーヤーは消えつつある。これは人が音質よりも便利さを選ぶようになったからだ。
この世の中で、4K、8Kと言っても、画質を選ぶだろうか。ウチの家内は、テレビではなく料理をしながらタブレットでドラマを観ている。リアルタイムではなく定額制アプリだ。ここでも便利さが勝っているのだ。これでは、ハードとしてのテレビもこれから無くなってもおかしくはない。
これからの時代、中小企業といえども社内に「広報担当者」もしくは「広報部」が必要となるだろう。複雑化した媒体に戦略的に広告を打つためだ。散漫なやり方ではダメだ。
いろんなところで、最新とアナログの戦いとなる。Amazonは商品を売っているが、実は商品を売っていない。売りモノは「時間」と「効率」だ。そちらに行くのか。また真逆にいくのか。方向性を決めなくてはいけない。
真逆とは「人の繋がり重視」だ。どんな時代でも「人の繋がり」を求める人はいる。SNSの発達を見れば分かるだろう。どちらかと言えば、我々中小企業は間違いなく後者だろう。いつの時代も決め手は「人間味」だ。
※本コラムは2022年7月の繁栄への着眼点を掲載したものです。