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社員教育・営業

第35講 カスタマーハランスメント対策の実務策㉒

クレーム対応の新知識と新常識

それはカスタマーハラスメントではありません!
②(前編)ご希望お断り時の「この対応をSNSに載せる!」

 お客様のお話を聴き、調査をしたり、先輩や上司と相談した結果、お断りすることになる事例も多いものです。

 その対話中に、「そんな対応は納得できません。この対応をSNSに載せます!」と言われた経験をした方もいることでしょう。「SNSに書きます!」と相手が興奮気味に言ったとしても、それは、カスタマーハラスメントではありません。なぜなら『理不尽で横暴』な話ではなく、お客様の行動を示すものですので、「ご自由にどうぞ」という思考でかまいません(思考だけですよ。「ご自由に」と言葉で言ってはいけません)

 また、「SNSに書きます」と言われても電話対応担当者の身体の安全性の欠如とは直結していないので、カスタマーハラスメントだと判別することはできません。

 それでは、「SNSに書く!」が『理不尽で横暴ではない』ことについて説明します。

 まずは、このお客様が企業に自分の希望を伝えたが、企業はお断りした。それに対して感情的になった。という当たりまえの現象です。そして、最もカスタマーハランスメントに当たらないことは、「ネットに書きます」と言っているだけで「ネットに書いて、苦しめてやる」とか「ネットに書いて恥をかかせてやる」と、脅しているのではなく、ただ、「SNSに書き込む!」と自分の行為を攻撃的な口調で言っているだけですから、この段階では、カスタマーハラスメントとは言えません。

 お客様のご希望を企業の考えでお断りしたら、ほとんどのお客様は怒ります。そもそもお断りした結果、相手が好意的な態度で受け止めてくれること自体があり得ないと考えて、クレーム対応のお断り作業をしなければなりません。なので、お客様は興奮をして、「この対応は納得いかない」という意思表示をするでしょう。「納得がいかない」という意思表示のトークの1つとして「SNSに書く」と言います。この場合、本気で「SNSに書く!」と言っているのか、興奮のあまり口がすべって「SNSに書く」と言っているのかの、2パターンが考えられますが、企業側の対応はどちらであっても対応は同じです。

 「SNSに書く!」の一言でカスハラだと判別してはいけないもう1つの条件、担当者の安全性について考えてみましょう。

 SNSに企業の対応への不満を載せられても、担当者への身体への安全性の欠如、つまり、担当者に直接身体的な危害が加わることにはなりません。(対面対応の場合は、安全性が担保できないので、電話対応とは対応が異なります)

 カスタマーハラスメント対策の目的は、担当者の心身の安全を確保する対応です。ここでは、まず、身体の安全の欠如はないので、「SNSに書く!」の一言は、カスハラだと判別できないのです。ただ、担当者の心の安心は妨げられる可能性があります。それは、「自分の名前が、ネットにさらされるのではないか」という不安です。その不安はぬぐえないでしょう。しかし、「お客様、SNSに書き込むのはやめてください!」と言ったり「お客様がそういう行動をされるなら、カスハラとして刑事罰(カスハラだと認定するということは、刑事罰として訴えるに相当するということが認定されたということです)に置き換えて訴えます!」と言ったところで、「じゃあ、SNSに書き込むのをやめるわ」とは、絶対になりません。むしろ、相手の感情はより昂って、中には、「SNSに書く」と口が滑って言ってしまっただけのお客様も、本当に書き込みたくなるのです。(こういうのを『お客様の口すべり』と呼ぶので覚えておきましょう)

 さて次は、SNSに書き込まれた場合、担当者として最も不安な、個人名がさらされることの確率を下げるために、企業としてやっておくべきことが3つあるのでお伝えします。この続きは、次回です。

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