ここで「報告」をする前にする大事なことが一つあります。「報告の予告」をするということです。
指示の内容を完了したBさんがA係長に報告する時は、声かけのタイミングを計ることです。例えBさんの目に映るA係長が取り込んでいないと視覚的に認められても、考え事をしていないかとその表情も見極めます。今だったら大丈夫と判断できたら、「失礼いたします。A係長、よろしければ、先ほどのご指示の報告を只今させていただいてよろしいでしょうか」と、報告の予告の声かけをします。指示がもし複数であれば、単に時系列に話すのではなく、A係長に順番の確認が必要です。なぜなら、立場の違いでその先の進め方など見えている景色が違うからです。その意味で「どちらから先に報告いたしましょうか?」の一言が思った以上に大事です。
報告内容がスタートしたら、当然順番は「結果」から話します。指示した内容の完了を素早く知ることができ、すぐにその先に進めるという効率に繋がります。指示内容が社外での業務であれば、取り急ぎメールでの報告もアリでしょう。(読む時間を選択できるのがメールのメリットです)。私見は求められた時のみ伝えますが、想定して準備しておくのもよいでしょう。「それで君はどう思う?」と突然聞かれても慌てずに発言できます。また、指示内容を遂行するのに一定期間が必要であれば、「中間報告」も相手にとって必要です。
報告に関して、個人的な体験ですが研修ご依頼を受けた企業様でご依頼くださった方と名刺交換いたしました(その方の肩書は部長以上の方でした)。研修が終わったところでお茶をいただきましたが、そこでの何気ない会話の中でその方が「いやー、うちの部長の○○は、報告が出来ないのですよ」と唐突におっしゃいました。私は社外の私が聞いてよいものかと内心驚きましたが、改めて「報連相」の「報告」は会社の肝にもあたる部分なので、」研修ではこれからもしっかりお伝えしなければと改めて心に刻みました。
業務内での円滑なコミュニケーションと効率的な業務遂行に欠かせない「報告」の次は「連絡」です。仕事の目標を達成するために必要な情報を関係者に伝えることが目的の「連絡」については、業務やスケジュールなどの情報「のみ」を伝えます。私見は必要ありません。Cという連絡は、C「のみ」を伝えます。Cダッシュになっては連絡ではありません。共有が目的なので、Cのみをしっかり伝えます。(伝達方法が音声の場合は、復唱・確認・了解・納得など怠らずに必ずなさってください)。「報連相」の研修中、何度か伝言ゲームを取り入れました。
ところが伝言ゲームの内容がそれほど難しくないにもかかわらず、各グループの最後の人に聞きとった成果を発表してもらうと、内容があまりにも原文とかけ離れていて驚きます。例えば会議が始まる時間・日付・会場となる部屋など、一致して当たり前であるところが、見事にバラバラなのです。この結果からも連絡に文書を添えるのをお勧めいたします。
最後に「相談」です。一般的な「相談」の注意点として、自分が相談する立場のときに気をつけることは、相談する内容の答えは、相手に丸投げしてしまうのではなく、自分なりの答を前もって出してから相談をします。また自分が相談される側であれば、聴き上手になって相手の話を聴き抜きます。「きく」には、「聞く」・「聴く」・「訊く」の三種類がありますが、「訊く」の気持ちで対応します。この「訊く」には聴いて分からなかったところはしっかり質問をし、疑問点なしまで聴き抜きます。相談を受ける側であればここまで聴き浸るのが必要です。
異なる観点から「相談」を考えると、上司が部下の育成と部下のエンゲージメントの向上を目的として「定期的に」一対一で一回30分ほどの話し合いの場を設けることも大いに意義があります。それを長いスタンスでやり続けると、両者の絆が強固になります。コロナ禍後の人材不足にお困りの企業や会社の対応として、離職を防ぐ一助になるかも知れません。最近、カスタマー・ハラスメント対策に特化した研修のご依頼をいただき始めていますが、従業員を守るという対応者の役割にも十分通じるので、一石二鳥の効果が狙えます。
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