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戦略・戦術

第五十話 ランチェスター法則で欲しい人材を確保する方法 その2

中小企業の「1位づくり」戦略

ランチェスター法則のお客様づくりが採用にも使える

 

ランチェスター法則とは

そもそも、ランチェスター法則とはなんの法則なのか。

そう思いませんでしたか。

 

ランチェスター法則とは、イギリスで自動車会社の社長をしていたフレデリック・ランチェスターが考えた法則です。

 

1914年7月28日に勃発した第一次世界大戦に刺激を受け、戦闘における力関係はどのようにして決まるのかを「ピタゴラスの定理」にヒントを得て2つの法則を発表しました。これが後に競争の法則と呼ばれ有名になりました。

 

その2つの法則を第2次世界大戦が始まる数年前、アメリカ国防省は数学者や物理学者を何人も集めてプロジェクトチームを作りました。

 

そして日本やドイツと戦争をすることになったとき、どのような戦い方をすると最も効果的に勝てるかについて研究をさせていたとき、ランチェスター法則を応用して大きな成果を出しました。

 

2つの法則は第1法則と第2法則と呼ばれ以下の公式となり伝えられました。

【第1法則】攻撃力は兵力数×武器性能(質)

【第2法則】攻撃力は兵力数(二乗)×武器性能(質)

 

第1法則は競争条件に劣る会社が使う弱者の戦略といわれ、第2法則は競争条件の有利な会社が使う強者の戦略といいます。

 

ランチェスター法則は競争の法則ですから、企業間競争の経営に応用するとランチェスター戦略になり、日常の仕事に応用するとランチェスター戦術になります。

 

つまり、ランチェスター法則は競争が発生するものには、たいがい応用できる「万能戦略」です。もちろんこの法則を、何を、どう応用するかはその人の実力と想像性によって決まります。(竹田陽一 著 戦略名人より引用)

 

 

ランチェスター法則を人材確保に応用できる

今日において、私は、経営規模の小さな会社がどのような採用の方法をすると最も効果的に成果を出すことができるのかについて研究をしていたところ、ランチェスター法則を人材確保に応用できることがわかりました。

 

いくつかの企業で人材確保にランチェスター戦略を応用して取り組んだところ、高い確率で成果を得られました。これらの取り組みを検証していく中でランチェスター採用戦略をこうして伝えることができるようになったワケです。

 

では、人材採用戦略とはどのようなモノなのか?をお話する前に、すこしランチェスター戦略のお客様づくりについて説明させていただきます。

なぜならお客様づくりも人材確保も同じ考えだからです。

 

つぎにあげるお客様づくりの原理原則のポイントをしっかり理解してうまく応用すれば、あなたの会社にぴったりの人がやってきます。

しかし、原則を無視すれば、どれほど資金を投入しても、成功を収めることは難しくなっていくでしょう。

 

 

お客様づくりの原理原則

では、お客様づくりの原理原則についてお話をしましょう。

会社という組織は粗利益を確保することによって活動することができます。

会社の粗利益はお客様からしか発生しません。

 

つまり経営の目的は「お客様づくり」となります。

利益性を高めてより良い会社にするには、どのようにして「お客様を増やしていくか」が、経営そのものなのです。

 

どこからモノを買うかどうかの決定権は100%お客様が持っていて売る側は0%なのです。

お客様がすべてを決めているのです。

これは会社を経営する上で絶対原則です。

例外はありません。

お客様中心で経営を考えると、とてもシンプルでわかりやすくなります。

 

「売上げが下がった」とか「商品が売れない」というのは、あなたのお店や会社を視点とした考え方です。

「売上げが下がった」という言葉の主語は、あなたのお店や会社を指しています。

「商品が売れない」という言葉の主語も、あなたのお店や会社の現状を表しています。

つまり自社視点の考え方になっているのです。

 

なんども言いますが、経営の絶対原則は顧客中心です。

顧客視点で、ものごとを考え取り組まなければなりません。

 

すべての決定権を持っているお客様が私たちのお店や会社を選んでくれた結果、売上げとなり利益が出る。お客様が私たちのお店や会社ではなく、他のお店や会社を選んだ結果、売上げが落ちるのです。

 

お客様は「どこから買うのか?」を絶えず選んでいます。

ここポイントです。

「お客様は常に選んでいるのです」

 

お客様は「これは価値がある」と感じた「1番のところ」を選びモノやサービスを購入しています。あなた自身、お客の立場になって自からの行動を振り返ってみたとき、そう感じませんか?

 

つまり、「特定分野で1位」になることでお客様さまから選ばれて、売上げが上がるのです。

私たちはお客様づくりにおいて「特定分野で1位」になることが経営の目標となります。

 

では特定分野とは、「どのような分野で1位になればいいのか」話を進めていきます。

以下に挙げる3つの分野が特定分野と考えています。

3つの特定分野で1位になることがお客様づくりで重要な課題になるのです。

これがランチェスター弱者の戦略です。

 

 

ランチェスター弱者の戦略は、3つの特定分野で1位を目指す!

1.業界・客層 1位を目指す顧客の決定!

自社の規模や経験から得意とする客層を決める。顧客を法人にするのか、個人を顧客にするのか。法人なら「どのような業界を中心にするか」、小売業なら「どのような客層を中心にするか」になります。一般的には、市場規模が大きな業界や幅広い客層を対象とすると売上げが多くなり、利益も増えると思われがちですが、市場規模が大きな業界には必ず強い競争相手が多数存在するので、小さな会社がこうした市場に参入しても勝ち目はありません。小さな会社は、自社の経営規模と競争相手との力関係を考えた上で、むしろ対象を狭くすべきです。

小さな会社の業界・客層づくりは、自社の経営力で1位になれる業界・客層を見つけ出し、それを重点目標と決めることになります。

 

2.商品 1位を目指す商品の決定

目的は強い商品づくりです。自社の経営規模で1位なる商品を決める。限りある資源を無駄に広げて分散したのでは、小さな会社は勝ち目がありません。あれも重要、これも重要ではダメです。総花主義は愚の骨頂です。こうなると経営力がひとく分散してひとつ一つの競争力が弱くなってしまいます。

強い商品づくりは商品の幅を広げ、いくつもの業種に手を広げることにあるのではなく、競争力がある強い商品や1位の商品を作ることになります。商品の幅を思い切って狭くすべきです。

 

3.地域 1位を目指す営業エリアの決定

どこの地域で1位を目指すのか。重点営業エリアとその範囲を決める。

強い営業エリアをつくることが目的です。

少なからず営業エリアを広くすると、「市場規模が大きくなるので、売上げが上がって、利益も増えるはずだ」と考えている方がいます。しかしこれは強者のエリア戦略になりますから、経営規模が小さな会社がこうすると、戦略の分散になってひどい結果になってしまいます。原則は営業エリアの範囲は狭くすべきなのです。

以上がお客様づくりに直接関係する3つの特定分野になります。

 

さて、基本原則はここまで。

これから応用です。

ランチェスター戦略のお客様づくりを採用戦略に置き換えて考えていきましょう。

とてもカンタンでシンプルです。

 

 

ランチェスター戦略のお客様づくりを採用戦略に置き換える

1の「業界・客層戦略」と2の「商品戦略」と3の「エリア戦略」を「来て欲しい人材」に置き換えて考えればいいのです。

 

つまり

・来て欲しい人材はどんな人?(=業界・客層戦略)

・来て欲しい人材はどんな能力?(商品戦略)

・来て欲しい人材はどこから?(エリア戦略)

こう考えれば、あなたがどういう人材に来て欲しいのかが、誰にでもすぐにわかります。

 

あなたが来て欲しい人材をはっきりイメージした段階で人材採用の計画をじっくりすすめていくことが経営者の仕事です。経営規模の小さな会社の戦略的な人材採用となるのです。

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