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健康

第3回 姿勢

社長の「氣」

 「日本の社長は良い洋服を着ていますが、姿勢が良くありませんね」
 アメリカで講演した際に、質疑応答で参加者の一人が悪氣なく放ったひとことです。彼は日本の会社と取引があり、頻繁に日本に来られているそうで、そこで得た率直な印象だったのでしょう。
 さらに彼はこう続けます。
 「日本には素晴らしい教えがあるのに、日本人はなぜ学ばないのでしょうか」
 日本では古くから「姿勢は心の状態の現れ」という教えがあります。日本語における「姿勢」には二つの意味があり、一つは身体の状態、もう一つは心の状態を指しています。
 「仕事に取り組む姿勢」という場合の「姿勢」は後者です。「心が身体を動かす」のですから、心の状態は身体の状態、すなわち姿勢にも表れています。 「姿勢」は周囲に与える第一印象を決定づけています。また、姿勢が悪いと氣が滞ります。氣力も減退します。
 姿勢を正すことが大事ですが、ここに大きな「落とし穴」があるのです。一般的に正しいとされている姿勢の一つに、学校で教わる「氣をつけ」があります。背筋を伸ばして、胸を張り、あごを引いて、手足をピンと伸ばして身体につける。多くの人が持つ正しい姿勢のイメージです。
 心身統一合氣道では、「正しい姿勢=自然な姿勢」と定義しています。そして、下記の3つの条件を満たす姿勢を「自然な姿勢」としています。
 
 
 自然な姿勢とは?
 一、 最も楽な姿勢
 二、 最も持続する姿勢
 三、 最も安定した姿勢
 
 実際に「氣をつけ」の姿勢をしてみると、全身に余分な力が入り、決して楽な姿勢ではないことが分かります。長時間持続することも出来ません。だからこそ「休め」の姿勢があるのでしょう。
 楽ではないということは、どこかに無理があり、どこかが不自然だということです。本来、身体の隅々まで氣が通っているのが当たり前ですが、余分な力が入ることで氣が滞るのです。「氣をつけ」のように全身に余分な力が入るということは、全身の氣が滞っているということです。
 全身に氣が通っているかどうかは、心身統一合氣道で行う「氣のテスト」によって、誰でもチェックすることが出来ます。
 「氣をつけ」をする人を押してみます。このとき、押す人は軽い力で継続的に押すと違いが良く分かります。「氣をつけ」をする人は、押す力に押し返したり、抵抗したりする必要はありません。ただ立っているだけで構いません。すると、「氣をつけ」の姿勢では簡単にバランスを崩すことが分かります。
 一方で、全身の力を完全に抜き、全身に氣が通っている状態では、同じように押してもバランスが保たれることが分かります。さらに、全身ダラッとした虚脱状態の姿勢も確認しておきましょう。押すまでもありませんが、簡単にバランスを崩すことが分かります。
 
「自然な姿勢には自然な安定がある」
 人間の身体はとてもよく出来ていて、自然な姿勢であれば自然な安定があります。力みが生じたり、虚脱状態になったり、不自然な姿勢になることで元々持っている安定が失われるのです。したがって、姿勢の安定を通じて自然な姿勢かどうか確認することが出来るということであり、その確認の方法が「氣のテスト」ということです。
 日本経営合理化協会主催のセミナーで経営者に姿勢をお伝えする際、その後の変化をお尋ねするようにしています。ある方は「最近疲れやすく、何事を行うにも昔のような氣力が湧かない」という悩みをお持ちでした。なるほど血色が悪く、ひどい肩こりで筋肉が鉄板のように固くなっていました。
 自然な姿勢を学んだことで肩こりが軽減し、血行が良くなったのでしょう。翌月には、すっかり元氣になっておられました。
 別の方は、「奥様やお子さんが自分の話に聞く耳を持つようになった」と話しておられました。なるほど、それまでの姿勢は尊大な印象を与えていましたが、姿勢が変わったことで周囲に与える印象が変わったのでしょう。社員と違って家族は遠慮がありませんから、家族から評価を得られたら本物です。
 「姿勢」は氣の学びの入口なのです。姿勢について、拙著『心を静める』(幻冬舎文庫)で詳しく解説しています。この連載とあわせて活用頂けましたら幸いです
 
 
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