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採用・法律

第107回『ChatGPTを導入してみたいのですが…』

中小企業の新たな法律リスク

著作権法との関係で気をつけるべきこと

高崎社長:あとは、著作権法との関係ではどのような点に気を付ける必要がありますか?

 

賛多弁護士:日々の業務では、例えば、〇〇文字で◇◇に関する××を作って、などという指示を与えることが考えられるのかなと思います。これによって完成した生成物が他人の著作権を侵害する可能性はあります。

 

そもそも著作権侵害が成立するためには、原著作物との「同一性(類似性)」と原著作物への「依拠性」という2つの要件を満たす必要があります。依拠性は、依拠していない限りこれほど類似することは経験則上あり得ない、といえるかで判断されます。これらの要件を満たす場合には、ChatGPTを用いて作成する行為が、他人の著作権を侵害することになります。

 

ただ、一般にChatGPTを用いて作成したときの成果物の生成過程はブラックボックスであり、生成過程を立証することは、なかなか難しいと思われます。また偶然表現などが似てしまった場合は、「依拠」したとはいえないので、著作権侵害は成立しないことになります。

 

また、少し視点は異なりますが、ChatGPTは文章の要約が得意なので、ミーティングの議事録を作成したり、文書要約を作成するために用いるケースも考えられます。この場合に注意すべきことは、読み込ませる文書に、秘密情報が含まれていないかどうかです。取引先との関係で秘密情報とされている情報については、たとえ要約のためであってもChatGPTへ入力することは秘密保持義務に違反する可能性があります。このリスクを回避する一方法として、文書から秘密情報のうち固有名詞などを削除した上で、ChatGPTに入力することも考えられますが、当該削除によって、完全にリスクを回避できるとは限らないので、秘密情報等の重要な事項については、ChatGPTの使用の是非を慎重に検討する必要があります。

 

高崎社長:なるほど、ChatGPTを利用することのリスクを正しく評価して、業務効率の改善のための利用を社内でも検討してみます。

お、やっときましたね。おいしそうです。

 

賛多弁護士:この香りだけでも元気になりますね。いただきます。

***

ChatGPTをDXに活用する企業が急速に増えています。今後、業務処理の効率化にも資する重要なツールの一つとなるのでしょう。

確かにChatGPTの利用には、リスクも伴いますが、そのリスクとしっかり向き合うことで、法的な問題を回避することは十分可能です。その際には弁護士をぜひご活用ください。

 

執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 塚越 幹夫

 

関連情報

ChatGPTリンク:https://chat.openai.com/

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・高島健一氏コラム『社長のメシの種4.0』第125回 「ChatGPT」現象

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・『牟田太陽の社長業ネクスト』第276回「AI」という社員

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