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採用・法律

第98回 動く商標を登録することができるの?!

中小企業の新たな法律リスク

 生活用品やインテリア雑貨のお店を経営する高橋社長が、賛多弁護士のもとに相談に来られました。高橋社長によると、新たな商標の登録を目指しているとのことですが‥‥。

* * *

高橋社長:先生、今日は、商標のことでちょっと相談がありまして。

 

賛多弁護士:どうされましたか?

 

高橋社長:当社の店舗「インテリア高橋」の2号店を出店しようかと思っているんです。

 

賛多弁護士:それは素晴らしいですね。

 

高橋社長:2号店の出店に併せて、商標の登録を目指そうかと思っておりますがどうですかね。最近、当社のロゴマークと似たようなロゴマークを使い始めた他社さんもありますので‥‥。

 

賛多弁護士:それは早く登録しておいた方がよさそうですね。日本では「先願主義」といって、早く使い始めた者ではなく、早く登録の出願をした者が商標登録をすることができます。

 

高橋社長:「先願主義」とは知りませんでした。他社さんに似たような商標登録の出願をされないうちに当社が出願をしようと思います。

 

賛多弁護士:ところで、どのような商標の登録手続きをしようとしているのですか?

 

高橋社長:まずは当社の店舗「インテリア高橋」のロゴマークの登録手続きをしようと思っています。これは登録できそうでしょうか。

 

賛多弁護士:「インテリア高橋」のロゴマークは、デザイン性が高い独特のロゴマークですので、登録できる可能性は大きいと思いますよ。ただ、類似の登録商標がないかどうかを特許庁のサイト「特許情報プラットフォーム」(J-PlatPat)で検索してみますね(下記url参照)。もし、同一または類似の登録商標がある場合は、このロゴマークを登録できない可能性があります。

「特許情報プラットフォーム」(J-PlatPat)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp

 

高橋社長:どうもありがとうございます。そのような特許庁のサイトがあるのですね。私も検索してみます。

 

賛多弁護士:ところで、ロゴマークの他にも登録手続きをしようと思っている商標はあるのですか。

 

高橋社長:当社のテレビCMでは、「インテリア高橋」のロゴマークが動くのですが、その動きがコミカルで面白いと言われています。

 

賛多弁護士:たしかに、奇妙な動きをしていますね(笑)。

 

高橋社長:そうなんです。このロゴマークの動きについては商標登録できそうでしょうか。「動き商標」というものがあると聞いたことがあるのですが‥‥。

 

賛多弁護士:最近、「動き商標」は、新しい商標として登録可能となりました。「動き商標」とは、文字、図形、記号等が時間の経過に伴って変化する商標のことです。この動くロゴマークが登録できそうかどうかについては調査してみますね。

 

高橋社長:どうもありがとうございます。登録できたら話題性も大きいですし、できることなら、「動き商標」の商標登録に挑戦してみようかと思っています!

 

賛多弁護士:承知しました。

* * *

 高橋社長と賛多弁護士とのやりとりにもありましたが、平成27年より、新しいタイプの商標が登録できるようになりました。新しいタイプの商標には、本編で登場した「動き商標」に加え、「ホログラム商標」、「色彩のみからなる商標」、「音商標」、「位置商標」があります。

(1)動き商標
動き商標とは、商標に係る文字、図形、記号等が時間の経過に伴って変化する商標のことです。例えば、テレビやコンピューター画面等に映し出される変化する文字、図形、記号等がこれに当たります。

(2)ホログラム商標
 ホログラム商標とは、商標に係る文字、図形、記号等がホログラフィーその他の方法により変化する商標のことです。ホログラフィーとは、3次元像を記録する技術のことをいいます。例えば、見る角度によって変化して見える文字や図形などがこれに当たります。

(3)色彩のみからなる商標
色彩のみからなる商標とは、単色又は複数の色彩の組合せからなる商標のことです。これは、これまでの図形等と色彩が結合したものではなく輪郭のないものです。例えば、広告用の看板に使用される色彩などがこれに当たります。

(4)音商標
音商標とは、音(聴覚で認識される音楽、音声、自然音等)からなる商標のことです。例えば、CMなどに使われるサウンドロゴがこれに当たります。

(5)位置商標
 位置商標とは、図形等の商標であって、商品等に付す位置が特定される商標のことです。それだけでは識別力がない文字、図形、記号等であっても、商品等に付す位置が特定されることによって識別力が生じるものです。例えば、商品の特定部分に図形を付した商標がこれに当たります。

執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 渡邉宏毅

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