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戦略・戦術

第186号  宅配便の料金値上げの実態

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 業界最大手のヤマト運輸が、法人顧客に対して一斉に宅配便の料金値上げ要請を始めている。
 
 料金値上げについては、一昨年秋頃に佐川急便が口火を切り、その影響でアマゾンを始めとする多くの通販企業の需要がヤマトに移行した経緯がある。
 
 それだけに、コストダウンやサービス合戦を繰り広げてきた大手2 社の相次いでの値上げは、通販業界に大きな影響を与えている。
 
 ヤマトは、低単価の顧客をリストアップして、ネット通販など大口クライアントを中心に契約見直しを打診中だ。
 
 その値上げ幅は通販事業者によってさまざまだが、少なくとも数%以上になることは確実で、中には1 個当たりの料金が2 倍となる提示を受けた企業もあるようだ。
 
 ここ数年、宅配便市場は拡大基調にあったものの、競争が激しい法人向けの単価は下落が続いていたため、大手2 社は、粗利益改善と運送業界の健全化に向けて、同じ方向に舵を切った格好だ。
 
 それでは、荷主となる中小の通販会社は、この値上げ分をどこで吸収し、どのように対処するか―。
 
 企業がコストを吸収できなければ、当然、消費者に負担してもらうことになる。
 
 顧客に値上げの事情を十分説明した上で、値上げ分をそのまま送料として転嫁するか、送料込みの商品価格にして販売価格に上乗せすることとなる。
 
 また、一定金額以上での購入で「送料無料」となるサービスについても、見直しが必要だ。
 
 JADMAの調査によると、送料無料となる平均金額は6,000 円以上。
 
 消費者は、通販で定番化しているこのサービスに慣れているため、なくすわけにもいかない。
 
 我々は、商品の価格設定はもちろん、アップセル・クロスセルを含めて、買いやすさへの配慮やお得感を演出した企画を考えていかなければならない。
 
 
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