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戦略・戦術

第186号  83兆円

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 この数字は、2013 年の個人消費支払いの非現金決済総額である。イギリスの調査会社Euro Monitor は、日本の個人消費のうち、非現金決済は約83 兆円と全体に占める割合が31%に達し、5 年後の2018 年には100 兆円規模になる見込みと発表している。
 
 日本では、日常的な買い物などの非現金の決済手段は、クレジットカード、電子マネー、デビットカード等だが、最も利用されているのはクレジットカード決済である。
 
 クレジットカードの年間決済件数は、80 億件以上にものぼり、1件あたりの決済金額は、より小額にも利用されるようになっている。このクレジットカード決済の拡大には、クレジットカード各社とネット系企業との連携が大きく寄与している。
 
 とくにここ1~2 年、ネット系企業は、この決済分野においても、サービス拡充の動きを加速させている。
 
 たとえば「楽天カード」の取扱高は、2013 年度は前年比42%増と高い伸び率となっており、楽天は「カードの取扱高で日本一を目指す」と気を吐いている。
 
 カードの申し込み手続きをネットでできるようにして事務コストを抑え、買物金額の1%分をポイント還元し、通常ポイント(0.5%)の倍の還元率にして楽天以外の買物利用を促進したことが奏功した。
 
 この他、楽天Edy や楽天SmartPay などの決済方法も取り揃えており、シナジー効果により“楽天経済圏”を築いていく構えだ。
 
 一方Amazon は、三井住友カードと提携し、2 月から「Amazon MasterCard」の提供を開始。 カード審査にかかる手間を可能な限り短縮して数分で仮カードを発行し、決済を行える日本初の方式を導入している。
 
 このAmazonMasterCard も、楽天カードと同じく、決済に利用するとポイントが付与され、Amazon で使うことができるようになっている。
 
 この他にも、三菱UFJ ニコスでは、楽天やAmazon での買物に通常よりも多くのポイントが付与されるカードを発行したり、JCB はYahoo!との提携カードを発行するなど、クレジットカード決済を巡る主権争いは激しさを増している。
 
 これに加えて、モバイル決済市場も小規模ながら拡大中で、IT 技術を駆使した新しいサービスが続々と登場している。
 
 「現金志向」が強いと言われてきた日本の小口決済の構図も、ネット通販のオンライン決済をけん引役に、今後大きく変化していくことになるだろう。
 
 
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