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第十一話 正直な商売をしろ!(殿村食品)

社長の口ぐせ経営哲学

消費者の間で、いまこそ食品の安全問題に関する興味は高まっている。
食品メーカーはかってないほど「商品の安全性」については重要なテーマとして取り組まなければならなくなってきている。
ある意味では死活問題といいてもいい。

「正直な商売をしろ」「信頼される商品をつくれ」が以前からの社長の口ぐせで、独自の経営戦略を持つ
食品加工メーカーが、静岡県藤枝市に本拠地を置く殿村食品株式会社(代表取締役社長 殿村元二郎)である。
同社は明治29年創業という老舗の食品加工会社で、ホシシイタケを主力にした農作乾物、
レトルト食品などを製造販売している。


長い経験と実績を活かした「仕入れ」から、シビアな独自の品質基準に基づいた「選別」、豊富な技術を駆使した「加工」、
徹底した全品検査の「品質管理」 を一貫して行う商品開発に力を入れ、品質第一主義を実現している。


殿村社長の口ぐせは現場の責任者に檄を飛ばす形で表現される。
「社長は社員に対して、『頭を使って新しい商品開発をするよう心掛けてほしい』ということと、さらに、『正直な商売』と
『信頼される商品づくり』を訴えています。二年前、他社の偽装表示の事件があったときも、『国産100%』
『中国産 100%』を明確に打ち出すよう指示されました」(同社の神谷毅営業部長)という。


食品表示一つにしても正確な表示は当たり前だが、そうでない企業の事件が後を絶たないのが現実である。
「安全」よりも「利益優先」で、基本を失った企業 が後を絶たない。
当たり前のことを当たり前にしっかり実行するということの難しさがあるようだ。
同社の品質第一主義が老舗の食品加工メーカーとして経営を続けている最大の理由の一つである。


次々に商品開発を展開しているが、最近、販売した「たけのこごはんの素」「山菜ごはんの素」(各600円)は好評だ。
例えば、「山菜ごはんの素」は具材にこだわりの旬の山菜を代表するワラビ、タラノ芽、シイタケを使用している。
とくに、タラノ芽を豊富に使い、野趣あふれる自然の風味が満点と支持されている。
簡単に本格的な山菜ごはんが作れるのが特徴でもある。


同社の本拠地がある藤枝市はシイタケを扱う業者が多く、海外も含めて全国からシイタケを集め、
加工して全国に出荷するという、「藤枝といえば、シイタケの集散地」で有名である。
同社と同業他社合わせて5社で、「藤枝きのこ団地」を結成し、各社が競ってシイタケの加工販売を行っている。
11年前、中国に製造工場を設立し、品質管理の技術を教えて、現在では現地スタッフが責任を持って生産を実現している。


「正直な商売をしろ」という経営哲学は業種、業態に関係なく、いつの時代でも通用するものだ。
今の時代こそ「正直な姿勢」こそ、注目すべき経営方針といいっていい。
経営者の「正直な姿勢」が会社全体の誠実さにつながり、顧客を魅了する商品やサービスを提供できる会社に育つといえる。


                                                      
上妻英夫

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