世界から食料を輸入して成り立っている自給自足率の低い日本。
いま、「食」は世界的な関心事の一つである。
新農法を掲げて、「食」に関して真っ向から勝負をかけて注目を集めているベンチャー企業が
百福インターナショナル株式会社(本社・岐阜市)である。
同社は、食料、環境、農業など、産学共同で事業展開することを狙って設立された。
百福インターナショナル株式会社の事業内容は、大豆の機能性食品の製造販売、予防医学のサプリメント開発販売、
竹チップとサンゴを活用した新農法の研究開発・普及啓蒙の三本柱である。
同社が最も注目を集めているのは従来になかった新しい農法を大学との共同研究の結果、
実際に農法として活用できるまで育てたということである。
通称、「百福農法」と呼んでいる自然農法である。
自然環境に近い形で栽培する農法である。竹チップとサンゴを活用した新農法技術である。
この新農法の特徴は、
(1)多収穫が得られること(果樹によっては2倍から3倍の収穫も可)、
(2)殺菌作用が高いため農薬使用を減少させることができること、
(3)高品質の作物が収穫できること(糖度がアップ)など。
例えば、新農法技術で栽培された米の食味値が最大で20%アップした事例や桃の糖度が最 大70%アップした事例など、
おいしい果樹が栽培されている。
この新農法をどのように普及させていくのか。
「従来になかった農法なので、生産者自らが説明を受けて納得していただき、
体験することで契約を交わし、踏み切るケースが大半です。
百福農法で作った作物そのものが証明役になっています」と渡邉史郎社長。
理論や理屈で説明しても完全に信用しないのが生産者の大半である。
だが、実際に自らが新農法技術を手がけ、多収穫を経験すると、驚きと新農法の画期的な農法の良さを知ることになる。
渡邉史郎社長は自社の社員に呼びかけている口ぐせがある。
「本物を追求しろ」「本物しか生き残れない」と言い続け、
農業生産者から喜ばれる仕事をするという信念を貫く経営者である。
「従来の農業のやり方では新しい時代は乗り切れない」という考えを持つ農業生産者は多い。
そういう状況の中で、百福インターナショナル株式会社が提唱する新農法が実現に向かって動き出していることは、
既存の農業に大きな波紋を投げかけているのも事実である。
食料自給率を上げなければならないという大きな命題を掲げた日本、
そして、それを支える農業に新しい風を吹き込み、風穴を開ける企業の一つに同社が存在する。
上妻英夫