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第九十三話 「『当たり前』と『型通り』に対して疑問を持て」(株式会社ゴダック)

社長の口ぐせ経営哲学

超ヒット食材の養殖エビ(「天使の海老」)を輸入販売する高級水産物の開発輸入商社の株式会社ゴダック(本社・東京都中央区築地)は貿易事業を始め、フードレストラン、鮨店などのレストラン事業(4業態5店舗)も展開する、いま快進撃を続ける勢いのある企業である。独自の企業戦略で着実な成長カーブを描いている。


同社は貿易事業、レストラン事業、ヘルスケア事業の事業展開で、売上高51億7000万円を達成する。最大の特徴は、ニューカレドニア産の養殖エビ(商品名「天使の海老」)を年間2200万匹、輸入販売するという食品輸入商社である点だ。手がけている輸入海産物のブランドは20銘柄あり、「天使の海老」のほか、タスマニア(オーストラリア)産の「キャッツアイ」(生カキ)、オーストリア産のアワビ「翡翠(ひすい)の瞳」、カナダ産のつぶ貝「銀の滴(しずく)」など、11品目を主力商品として扱っている。


「天使の海老」と名付けられた最高品質の養殖海老は高級レストランや高級ホテルで重宝され、知る人ぞ知る高級食材である。この食材はフランスの国際的検査機関が5から6年かけて工場や養殖場を調査・審査した上で認定する「クオリサート」の認定を受けている。これは世界最高品質のものに与えられている称号で、エビでは「天使の海老」が初めて認定されたという。


「天使の海老」は天然エビではなく、ニューカレドニアの生産者と提携し、海水1トン当り20尾という飼育環境で、有機飼料のみで養殖されている。稚エビの孵化から生育、水揚げ、加工、出荷まで、HACCP規格に沿って、生産され、高品質・少量生産に徹する一貫した仕組みをつくり上げている。「輸入量も右肩上がりで、業界では『革命』『奇跡』の食材と注目されています」と荒谷公彦社長は語る。


荒谷社長のネーミング戦略は、提供する側のエネルギーが消費者に乗り移る感覚、つまり、皮膚感覚を徹底して磨き、知識よりも現場感覚で生まれた斬新なアイデアをもとに絞りだす方法を取っている。「私の頭で組み立て、エネルギーを吹き込む感覚で創り上げます。これがすべての原点です」と荒谷社長。


荒谷社長は「『当たり前』と『型通り』に対して疑問を持て」と檄を飛ばす。独自の視点で物事を洞察し、深く考えることで磨きがかかり、独自の発想を持てるようになる、と言い切る。常識的な考えでは新しいアイデアは生まれないし、楽しく仕事ができない。だから、自分の実感を信用して、自信を持って決断しろ、社員には訴えている。
 

                                                    上妻英夫

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