時間消費型産業の代表的な業態が複合カフェ。マンガ喫茶に始まり、インターネットカフェ、現在は複合カフェに進化している。2189億円の市場規模を持つ複合カフェ業界のパイオニアであり、リーディングカンパニーが株式会社ランシステム(本社・東京都豊島区)である。同社は複合カフェ「スペースクリエイト自遊空間」を全国に184店舗(業界トップ、直営店58、FC126)を事業展開している。
日本複合カフェ協会(JCCA)によれば、430法人、2481店舗の規模に成長しているという。複合カフェの定義は「時間制課金システムを基本とし、コミック、ゲーム、インターネットや各種アミューズメント及び飲食サービスなどの複合的なコンテンツを店内に提供することにより、お客様にやすらぎの場所として過ごしていただける『時間・空間消費型施設』の総称」である。
同社は店舗数で184店舗とトップ、会員数約1000万人を超える企業である。旗艦店舗として「BIGBOX高田馬場店」を運営、業界初の自動入退場システム、5万冊のコミックを短時間で検索する最先端のシステムを導入した次世代複合カフェを実現している。利用者は20代から40代が中心だが、超高齢化社会を迎えるに当たって、シルバーやシニア向けにも利用してもらう戦略を取り始めている。
同社が打ち出している新業態として、シニア向けの新型店「健遊空間」が群馬県太田市に2011年7月末に開業。来年6月期までに首都圏の駅前や郊外に3店舗、2012年6月期までにFCも含めて15店舗を出す予定だ。囲碁・将棋から健康マージャン、パソコン、コミック、健康器具など、シニア向けにターゲットを絞りこんでいる。キッズエリアも併設している。
同社の濱田文孝社長は「『自遊空間』を知ってもらうために、『ファンづくり』を進めてリピート率を高めています。差別化戦略として“気配り”サービスを徹底しています。他店との違いを知ってもらえれば、ファン化できるということです」という。だから、一度来店してもらうきっかけのために、いろんな販売促進を展開している。「家族割」「シニア割」などの販促策をもその一つだ。
「信頼なくして商いなし」の経営信条を持つ濱田社長。お客様が「いい店に来たな」という満足度を重要視している。だから、「笑顔」「挨拶」「清潔な空間」というサービスの基本を徹底する。社員にはいつも、「高質なサービスを心掛けよう」と呼びかけている。さらに、濱田社長は「自分が会社に何ができるかを常に考えろ」と檄を飛ばす。これから超高齢化社会を迎えるが、同社は既にシルバーやシニア対策を始めている。
上妻英夫