ウエディング市場のリーディングカンパニーと称されている株式会社ノバレーゼは、婚礼衣裳事業、婚礼プロデュース事業、ホテル・レストラン事業の3本の事業が相乗効果を生み、収益性を高め、売上げも伸ばすという、バランスの取れた増収・増益の企業体質をつくり上げている。わずか、6年で東証マザーズに上場を果たしている成長企業である。
41歳の浅田剛治社長は上場企業では若手経営者だ。結婚式の業務にかかわって18年目、独自性が強く、オリジナル性の高い結婚式を提案している企業である。ウエディング市場は約3兆円という大きな市場規模だが、最近は、伸び悩み、横ばい傾向が続いている。そういう状況の中で、成長を続けている同社は、業界内外で注目を集めている企業の一つだ。
昨年、今年に続いて新しい施設も開業。ゲストハウス(16店舗)、結婚式場・ホテル(4店舗)、ドレスショップ(16店舗)、レストラン(1店舗)、海外店舗(1店舗)で、合わせて38店舗を展開している。「結婚式場の再生受託から婚礼プロデュースの委託まで、年間数件の依頼があり、その数は年々増えています。どこか特徴がなければ難しい時代です。すべて平均点というのはダメですね」と浅田剛治社長は語る。
同社の結婚式場は二つのタイプがある。一つは駅近くの都市型の高級感を演出するシンプルでスタイリッシュな内外装や空間建築を特徴とする施設(モノリスタイプ)と、もう一つは郊外型で自然の景観に恵まれた地域を対象に、高級リゾート感のある建築を特徴とする施設(アマンダンタイプ)である。同社は再生施設の事業展開も特徴の一つである。歴史的、文化的価値のある建造物、旧来型のホテル・専門式場をノバレーゼの開発・運営手法を投入して蘇らせた施設である。
業績が伸びている一つの理由が人材育成に力点を置いていることである。ユニークな人事制度や休暇制度が注目されている。社員が決める"働き方"のフレックスキャリア制度を09年1月より採用。10年3月から導入した「アイデア休暇」もユニークだ。ズル休みにヒントを得て、まじめに働いている社員の息抜きでユーモアのあるストーリーを口実に休暇が取れるという制度だ。
「楽しい環境をつくり、提供するのが私の仕事です」という浅田社長。経営理念が「世の中に元気を与え続ける会社でありたい」である。浅田社長は社員に対して「自分がどうしたら楽しいか」「人のために生きろ」と訴えている。社員の意見を基に作成した「クレド」の表には「人のために生きよ」「世のため人のためを本気で考えて生きよ。その先に幸福がある」と書かれている。裏面に「本気道七か条」と書く、ユニークな会社だ。
上妻英夫