menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第70回「顧客の不便を次々と解決するサービスの積み重ねが企業成長の原動力」インフォマート

深読み企業分析

インフォマートはBtoBプラットフォームに特化した企業で、BtoBプラットフォームでは国内最大級の取引先を抱える企業である。現時点の主たる顧客は外食産業と業務用卸であるが、食品メーカーや食品とは無関係の業界にも顧客層は広がっている。
 
サービス別に売上規模の大きい順に見ると、受発注(外食と卸間)、請求書(ES事業)、規格書の順であり、前期は3事業とも二ケタの伸び率となった。特にES事業が26.9%増と大きく伸びたことが業績をけん引した。同社ビジネスは低価格でパッケージを販売し、月額課金型のシステム使用料で稼ぐパターンであり、売上増がストレートに利益増に結び付く。また、カスタマイズを押さえることで、サービス使用料が安いため、継続的に使用する顧客が多い。
 
 
 
 
fukayomi1904.jpg
 

商談の電子化からスタート
 
現在、7つのプラットフォームを提供しているが、スタートは21年前の商談からである。販路を持つ顧客と製品を持っている顧客をネット上で結び付けることからスタートした創業事業であるが、現時点の売上規模は小さい。
 
その後、商談の顧客基盤に対して、順次、受発注、規格書、請求書などのサービスを売り込むことで成長してきた。直近では2015年1月にサービスを開始した請求書が柱の一つとして収益化のめどが立ち、さらに2018年7月に開始した契約書もスピーディーな立ち上がりを示している。請求者からは従来の顧客基盤である外食産業や業務用卸以外の食品と無関係の顧客へのすそ野を広げている。
 
同社の創業来の考え方は、顧客の不便をいかにローコストで解決するかということである。そのコンセプトで、次々とプラットフォームを開発することで、前期までの9年間に年率11.2%の売上成長と13.9%の営業利益成長を遂げてきた。
 

有賀の眼
 
業種分けということを考えた場合、一般的なイメージは、建設株、化学株、小売り株、卸株、外食株、電機株、サービス株、自動車株などと並んで、ネット株があるというイメージでとらえられているかもしれない。
 
しかし、実際は、リアルな市場に小売り、卸、サービスなどがあるのと並行して、ネット市場に小売り、卸、サービスなどがあるイメージが正しいものである。つまり、従来ある市場をネット技術によって奪って行くというイメージが理解しやすいだろう。
 
もちろん、リアルにはない市場を作るネット企業というものもあるが、企業数で言えば、むしろリアル市場を代替する企業の方が多いと思われる。その意味では、一見ネットビジネスとは無縁のビジネスでも常にネット企業の研究は怠れない。なぜなら、ある日突然、ネット企業がリアルビジネスのライバルとして出現するかもしれないからである。
 
さて、同社はこの10年ほどで高成長を遂げてきた会社であるが、同社のビジネスの成り立ちを考えると、まさに顧客の不便や不満をネット技術で解決しようという意図が読み取れる。その顧客の不便や不満をネット技術によってローコストで解決しようという試みである。
 
これはまさにリアルなビジネスにも相通じるものであり、顧客の不便や不満を解決することこそまさにビジネスの王道と言えるものであろう。その結果、長期にわたって着実な高成長を遂げられたわけである。
 
 

第69回「伝統産業とは思えないスピード経営が強み」やまみ前のページ

第71回「外食のあらゆるシーンで、注文0分、会計0分を可能にするプットメニューを提供」ジャストプランニング次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

    セミナー

    社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

  2. 《最新刊》有賀泰夫の「2024年夏からの株式市場の行方と有望企業」

    音声・映像

    《最新刊》有賀泰夫の「2024年夏からの株式市場の行方と有望企業」

  3. 有賀泰夫の「2024年春からの株式市場の行方と有望企業」

    音声・映像

    有賀泰夫の「2024年春からの株式市場の行方と有望企業」

関連記事

  1. 第60回 中古住宅再生で画期的なアイディア「カチタス」

  2. 第56回 好調なドラッグストアがコンビニの強敵に「ウエルシアホールディングス」

  3. 第29回 改めて驚かされる事業変革のスピード「サイバーエージェント」

最新の経営コラム

  1. 第35講 カスタマーハランスメント対策の実務策㉒

  2. 第180回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方103『研修効果を持続させる仕組み』

  3. 第46話 本格的な変化の時代 将来に備えた基礎固めを(3)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 健康

    第10回 脳を鍛える際に欠かせない2つの法則
  2. 製造業

    第317号 【急所44】仕事は、教え方まで含めて「仕組み化」せよ(その2)
  3. コミュニケーション

    第187回「気配りのできる人が『気配りできない人』を気配りする」
  4. コミュニケーション

    書くのが圧倒的にラクになる!メール・文章の基本構成と書き方
  5. マネジメント

    第47回 『ストレス・マネジメント』
keyboard_arrow_up