環境問題は地球的規模の段階に入っている。中でも、深刻な水不足と水質汚染は各国が頭を痛めている環境問題の一つである。株式会社シーティーシー(本社・横浜市)は国内外への技術者派遣事業を柱に、水質浄化に関連した環境事業部を新規事業として展開するベンチャー企業である。画期的な水質浄化システムを誕生させ、各方面から注目を集めている水ビジネスである。
昨年11月、秋田県農業研修センターで「自然との共生を求めて」(八郎湖水質浄化と農業のためのシンポジウム)が開催された。京都大学水質浄化研究会(座長・京都大学名誉教授の谷坂隆俊氏)が主催、株式会社シーティーシーが共催、開催地の秋田県大潟村が協賛した。水質浄化試験の報告は、大潟村で最も汚れた池であり、堆積汚泥が水面下まで漂い、アクやアク溜まりができている、第2ラグーンで実施された。
水処理活性剤「ルオール」を6回に分けて使用。約4ヶ月で、悪臭がなくなり、透明度の改善がなされ、汚泥の分解が進んだ。また、自然環境による浄化が進み、持続可能な浄化が進行している。誤解を承知の上でいえば、ルオールは水質浄化の“魔法の水”ということである。ルオールの成分は、自然環境において微生物が自ら製造する有機酸、アミノ酸、糖類、ビタミンB群、及び微生物の栄養剤からなり、微生物は一切含まれていない。
画期的な水処理活性剤のルオールは水処理が好循環するためのきっかけをつくり、もともとの微生物群による自浄能力を回復、向上させるとともに、汚染の元である有機物汚泥を分解する。自然界の浄化に不可欠な微生物が生存できる環境を復元、活性化することにより、持続可能な水質浄化を行なうというものだ。
シンポジウム実施以来、各方面で反響を呼んでいる。水質浄化技術を知的財産権ビジネスとして海外に売り込んでいる、すでに、深刻な水質汚染の悩む中国政府(水利部)が関心を示していて、ライセンス契約の方向で詳細を詰めている。モンゴルやベトナムからの問い合わせがあり、進行中である。
同社の前仲伸一社長は、この水ビジネスである新規事業に積極的である。個人(会社)が開発した水ビジネスだが、“人類益”という視点が重要であるという。「仕事はフェアにやれ」が口ぐせ。いろんな人が関わるだけに利益重視に陥ったり、独りよがりの発想では成功しないと感じている。事業展開の進め方は、「集中、一気、スピード」を心がけるように社員に檄を飛ばしている。注目すべきベンチャー企業である。
上妻英夫