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税務・会計

第28回 固定費を変動費に変える「新しい経営スタイル」

賢い社長の「経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」

 コロナ禍で経済活動や生活様式が変化しています。それに応じて会社経営にも変化が求められます。企業の規模が大きくなればなるほど、所有する資産が増えます。雇用する社員数も増えます。大企業ほど、身動きが取りづらくなっているのが現状です。

 資産が増加すると使える資金が少なくなるだけではありません。保有資産の維持管理に要する固定費の負担も増えます。逆に、維持しなければならないモノやヒトが少ないと、毎月の固定費を抑えられます。それとともに、ビジネスを素早く方向転換することも可能です。

 環境の変化に適応しやすいのが、中小企業のメリットのひとつです。現在のような激動の時代に生き残るために、会社をできるだけ身軽にしておくことをおすすめします。

 そこで今回は、「固定費を変動費に変える新しい経営スタイル」について考えます。キーワードは「シェア」「アウトソーシング」「クラウド」の3つです。

御社の毎月の固定費は、いくらですか?

 

①資産を所有せずに「シェア」する

 コロナ禍以降、企業の本社ビル売却のニュースが頻繁に報じられています。テレワークや在宅勤務が常態化し、オフィスの利用状況が変わったからです。立派な本社ビルを所有するスタイルから、必要なスペースだけを借りる形態に変わりつつあります。

 また、多額のオフィス家賃を毎月支出していた会社も、座席をフリーアドレス化してスペースを縮小し、家賃を2分の1に削減した会社もあります。
 最低限必要なスペースだけを残して、それ以外は必要に応じてシェアオフィスや貸し会議室を利用するようにした会社もあります。
 本社ビルの保有コストや毎月の定額家賃という固定費を削減して、その時の業績や稼働状況に応じて発生する変動費に変えているのです。

 社有車を減らして、レンタカーやカーシェアリングを利用する会社も増えています。社長の運転手付きの車をやめて、ハイヤーやタクシーを利用するようにした会社もあります。

 このように、会社でも必要に応じて「シェア」を利用して、経費をコントロールすることが一般的になりつつあるようです。

現在所有している財産の中で、「シェア」できるものはないですか?

 

②人件費を「アウトソーシング」で変動費化する

 固定費の中で最も負担割合が高いのが人件費です。
 コロナ禍で、業績が悪化した業種の中でも、人件費が大きい会社ほど赤字の金額が膨れ上がりました。

 日々の業務量がそれほど多くない中小企業などでは、社員を採用して教育するよりも、アウトソーシングを利用したほうが効率的な場合も少なくありません。
 アウトソーシングが可能な業務の種類も多岐にわたっています。外注できない仕事はないほど広範囲な仕事が外注可能です。

 特に、総務、経理、人事等の管理業務については、ほぼ全ての業務をアウトソーシングすることも可能です。
 社員を雇用して給料という固定費を支出して仕事をするやり方から、利用した業務量に比例して支払うアウトソーシングに変更する会社も増えています。
 社員の採用・教育、社会保険の加入、昇給・賞与、解雇・退職などを総合的に考えると、アウトソーシングのほうがリーズナブルだと考える経営者もいます。

御社の業務で、「アウトソーシング」できない仕事はなんですか?

 

③業務のIT化は「クラウド」を活用する

 経済活動のデジタル化が進む中で、IT投資は欠かせません。
 これまでは、高額のIT投資が可能な大企業だけが、高い業務効率を実現できていました。ハードウェアやソフトウェアを毎年のように更新しなければならず、減価償却費やリース料などの固定費が膨らんでいきました。

 それに対して中小企業においては、IT投資に充てる資金が不足していたため、IT化が進まずに業務効率が悪い状態が続いていたのが現実です。IT化できずにいつまでも手作業でカバーしていたため、労働生産性は低いままでした。

 しかしクラウドサービスが普及した現在では、業務のIT化を始めるための高額なIT投資の必要がなくなりました。
 多額の初期投資は不要で、毎月の利用料や利用人数分だけの費用で利用できます。売上回収管理、仕入在庫管理、財務会計、給与計算、経費精算等、会社で利用する仕事のほとんどがクラウドサービスとして提供されています。インターネットにログインできる環境さえあれば、すぐに必要な分だけ利用が可能です。

 中小企業にとって業務のクラウド化は、IT投資やシステム管理の固定費の削減を実現するとともに、業務効率を向上させるチャンス到来と言えるでしょう。

御社では、なんの仕事から「クラウド化」しますか?

 

「新しい経営スタイル」で固定費を抑制する

 経営の先行きが見通しづらい時代です。経営状況が変わったら、変化に応じて資金の使い方が変わります。こんなときには、毎月の資金の支出をできるだけ固定しないようにしたいものです。

 今回見てきた「固定費を変動費に変える新しい経営スタイル」3つのキーワードを頭に置いて、固定費を見直してみてください。

「固定費を変動費に変える新しい経営スタイル」3つのキーワード
 ①シェア
 ②アウトソーシング
 ③クラウド

 固定観念や先入観に縛られず、資金の使い方を新しい自由な発想で捉え直してみます。
 外に目を向けると、新しい便利な業務サービスが提供されていることに気づきます。
 業務のやり方を新しいスタイルに刷新することにより、社員の意識も変わり、自社が提供する商品サービスの新しいアイデアが生まれるかもしれません。
 古いやり方を捨てて「新しい経営スタイル」に変わると、ビジネス展開も広がることでしょう。

「新しい経営スタイル」で固定費を削減できたら、何に資金を使いますか?

 

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