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戦略・戦術

第七十一話_禁断の組み合わせから地域活性化へ - 和歌山県田辺市のうなぎ販売展の革新的ビジネスモデル

中小企業の「1位づくり」戦略

互いの課題を解決するうなぎ屋と梅農家のパートナーシップ

こんにちは!1位づくり戦略コンサルタントの佐藤 元相です。

地方の人口減少が深刻化する中、小さな会社が成長するための鍵を探ります。その答えを見出すために、本日ご紹介する太田商店の取り組みを探究することは有益です。

うなぎ専門の太田商店は、地域の課題解決を通じて新たな価値を創出し、地域とのコラボレーションを差別化戦略として全国に展開しています。

 

うなぎ専門の太田商店の課題

昭和11年に和歌山県田辺市で創業した太田商店は、伝統の味を守り続けているうなぎ専門店です。この地域の高齢化と人口減少により客足が減少し、さらにうなぎの仕入れ価格高騰によって事業に大きな影響を受けていました。

 

 

4代目の店主の太田さんは「このまま何もしないでいたら、じり貧は免れない。店頭での販売には限界がある」と考えていました。

そんなとき、田辺市の職員から新しい商品をつくって地域を盛り上げてほしい!」とふるさと納税の返礼品の開発の相談を受けました。

 

職員は「地域の梅農家は、和歌山県の高付加価値ブランド『紀州南高梅』にもかかわらず、カタチや傷で規格外とされ大きく価値が下がる『つぶれ梅』の存在や梅の買い取り価格が安定しないこと、若者の梅場慣れなどの課題を持っている。和歌山県は日本一の梅の産地であり、その豊かな自然環境で育った梅と紀州南高梅のブランド価値を活かし、ただのコラボだけではなく、うなぎと梅、価格変動の影響を受けにくい新商品の開発を目指して特定分野で1位になってほしい!そうしてこの地域を盛り上げていこう!」という思いを強く語りました。

 

太田さんは、その思いを受けて「梅とうなぎの禁断の食べ合わせ」への挑戦を決意しました。

この組み合わせは、昔から「食い合わせが悪い」とされてきました。しかし実際には医学的な根拠はなく、一緒に食べることで健康効果が期待できると言われています。

それぞれの課題を解決することが、私たちを最強のパートナーへと変える手応えを感じたと言います。

 

さらに、太田さんは大阪で料理人の修行をしていた経験をいかして、かつお梅、しそ梅、こんぶ梅など、うなぎと合うように自分で漬けました。この斬新なアイデアは、うなぎの豊かな味わいと梅の酸味が絶妙にマッチし、新たな味覚を創出しました。


それが「紀州南高梅ひつまぶし」です。

 

 

地域ブランドの紀州南高梅とコラボすることで、和歌山県産ではないうなぎも地域性を出すことができ、ネット販売やふるさと納税の返礼品として、全国から注文がくるようになりました。

さらに和歌山らしさや全国レベルの商品力があると認める「プレミア和歌山の推奨品」に選ばれ、中でも特に優れた商品に贈られる「審査委員特別賞」しました。食べ合わせが悪いと言われてきたうなぎと梅干しをうまく組み合わせた独創的な商品で、高い評価を得ました。

 

 

それまで、夏の「土用丑の日」などの繁忙期に売上が集中していたうなぎの販売も、新しい取り組みにより年間を通して分散することが可能になりました。このコラボでは、形が崩れたり規格外の梅を通常より高い価格で買い取ることが実現しました。これにより、両方の課題を解決へと導くことができました。

この取り組みは、地域産業間の協力により生まれた、地域ブランドの再構築という大きなプロジェクトの一環でした。うなぎ屋が梅農家と協力することで、梅農家は新たな販路を確保し、うなぎ店は独自の商品を市場に提供することができました。この取り組みは全国的に注目を集め、地域課題の解決に貢献しました。

地方創生におけるこのような取り組みは、単に経済的な利益を超え、地域の活力を再び高める機会を創出します。和歌山県田辺市の例は、他の地域にとっても大きな示唆を与えるものであり、地域資源を活用した独自の解決策が、地域全体の持続可能な発展にどのように寄与できるかを示しています。

最終的に、この取り組みはただのビジネスモデルに留まらず、地域社会の結束を深め、地域に新たな誇りをもたらす一助となりました。地方都市の多くが抱える問題に対して、革新的かつ地域に根差した解決策が、未来への希望を見出す鍵となるでしょう。

 

伝統の味 太田うなぎ店
https://o-ochan.raku-uru.jp/

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