それはカスタマーハラスメントではありません!
「売ったら売りっぱなしだ!」「客に泣き寝入りをしろということか!」《第3部/4部作》
つまり、企業としては、「売ったら売りっぱなしではない!企業としてやるべきことと、できることの対応は、備えている」と考えて、日々運営をしていても、「売ったら売りっぱなし!」と思うお客様は発生するということ、また、「売ったら売りっぱなし!」と強く思っているわけではないが、そう言ってしまいたくなるお客様がいるということを折り込んで、応酬話法を決めておくべきです。
また、「客が泣き寝入りするしかないというのか!」と言われたりすると、その瞬間、少し、担当者は胸が痛むと思います。「売ったら売りっぱなし!」はダイレクトに企業を批判する言葉ですが、「客が泣き寝入りするしかないというのか!」という言葉は、企業と合意ができなかったお客様の、落胆の思いや寂しい気持ちが伝わってきて、少し、申し訳ない気持ちが発生したりします。
でも、泣き寝入りしていただくしかないことを否定しないでください。お客様のご希望に対応しない事案のゴールは、必ず引き下がっていただくしかありません。お客様は、『あきらめて引きがる』という意味のことを『泣き寝入り』という私たちに打撃を与える用語で伝えようとします。
担当者にとっては、「客が泣き寝入りするしかないというのか!」と言われると一瞬、胸が痛くなりますが、あきらめて引き下がっていただく事例に、「泣き寝入りしていただく」のか「していただかないのか」でいうと、「泣き寝入りしていただく」ことに代わりはないので、「泣き寝入りしていただく」ことを認めてください。
「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」と言ったお客様の目的がなんであれ、応酬話法が決まっていれば、「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」と言われるたびに、担当者は戸惑う必要はなくなるのです。
それでは、どのようなトークを返すことが良いのかについては、次回、記述します。
その前に、ここまでのお話でもう1つ言っておきたいことがあります。
「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」は、カスタマーハラスメントではないと、39講の序盤に言いました。なぜ、カスハラでないかというと、これらの言葉は、脅迫罪・強要罪・人権侵害などに抵触する可能性がないからです。
いつも私が言っていることは、カスタマーハラスメントというのは、担当者がストレスを感じる相手のことではなく、刑法に抵触し、企業として刑法で訴訟をするに相当する言動が相手にあることを言うのです。
それで言うと、「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」という言葉はどうでしょうか?それぞれの言葉は、脅迫や、強要や、人権侵害に当たる言葉でしょうか?少なくとも、直接的には、そういう行為にはなっていませんね。
むしろ、担当者の同情心を掻き立てる言葉ではありますが、担当者を怖がらすことを目的にしている言葉でありません。実は、この言葉の前後のやりとりによって、刑法に関わる案件となるかもしれませんが、この言葉だけでは、刑法に関わる条件を満たさないのです。なので、「売ったら売りっぱなし!」「客をだましている!」「こちらが泣き寝入りするしかないというのか!」などの言葉は、カスハラではないのです。
お客様が担当者を困らせるような言葉、その言葉のすべてがカスハラではありません。