クレーム対応のルールを間違って理解しているから失敗する(7)
『論理的対応』とは『正しい手順』を使って『絶対的平等』で『解決を図る』ことを目指す
(※秀和システム刊 『ポケット図解 クレーム対応のポイントがわかる本』より、一部抜粋と加筆)
【その1】『正しい手順』の結果、企業に問題がないのであれば相手が泣こうが怒鳴ろうが特別対応をすることはない。そして最終的にお別れをすることもありうる。それが『絶対的平等』
お客様の興奮や恫喝の恐怖から逃れたいために特別対応をしない。相手も困っているから大声になる。
『正しい手順』で事実を調べ、原因を究明した結果、企業側に原因の所在が特定されなかった場合は企業側は現状復帰以外の対応をする必要はありません。しかし、お客様はその結果に納得せず、担当者にいろいろな不満を言い、挙句の果てに「このままでは一歩も譲らない」というような意味の罵声を浴びせるかもしれません。でも、その恫喝される恐怖感から逃れたいために特別対応に転じる事は好ましい対応ではありません。お客様に理解をしてもらえない結果をわかってもらおうと、資料を見てもらったり、こちらの考えをていねいに伝えたりすることは大切ですが、その工夫や努力にも理解を求められないなら、もう最終的にはわかっていただかなくてもかまわないという結末をイメージしながら、対応が終わるのを待つということになります。
「理解が求められない結末もあってかまわない」と言う意識をしっかりと持つこと。
どのお客様にも、どの事例にもお客様の理解や合意がなければならないと思いこまない事です。法的な理由のない損害賠償をする必要はありませんし、企業の提案以上にお客様の要求に譲歩する必要はありません。しかし、このお客様に引き下がってもらうためにはたくさんの会話とある程度の時間をかけた根気のある対応が必要でしょう。この対応を早く終わらせたいからと、また、いくら話しあっても結果に変わりはないからと、無理に結論を急いで終わらせることがないように注意しましょう。『絶対的平等』というのは、相手の様子によって対応を変えないことです。
【その2】法律的にこの対応は問題があるのかないのか。『論理的対応』の根拠は『法律』です。
あなたは消費者も知っている程度の法律をどれだけ知っていますか?お客様のほうが法律を理解している場合も多い、そうなると専門家としてタジタジになりますから『法律』を背景にお申し出事例に対する判断や結論を出すことができる程度の『法律』力が必要です。
お客様のほうが法律を理解している場合も多い、そうなると専門家としてタジタジになりますから「お客様、それでは対応をいたしますのでお名前、ご住所、お電話番号をお願いいたします」と言ったら「あなたの個人情報を知らないのに、私の個人情報はいう必要はないでしょ!」なんて言われたとしたらどうしますか?また「さっきこの会話を録音していると言う音声が流れたけど、それは個人情報保護法違反ですよね!」なんて言われた瞬間、「違反しているのかしら!?」とびっくりしたりしていませんか?そうなるとこの瞬間から平常心でなくなって、冷静な対応ができなくなってしまいます。また、「今回の製品の不具合で無償修理をしてくれるのはそれはそれで良いけれど、非常に嫌な思いをし精神的負担を味わったので慰謝料を払ってください」と激しく言われたら「払ったほうが良いのかな?」なんて戸惑ったりしていませんか?それは法律を知らないからです。
よく耳にする法律を理解するために勉強しておくのは当然です。それはクレーム対応担当者の仕事ですから。
これらのような法律的な理由を根拠に拒否をされたり、要求をされたりした瞬間に、一挙に緊張してしまうようでは冷静な対応がむずかしくなります。対応時にお客様の口からよく出てくる法律程度は、勉強をしておきましょう。
それぞれの事例には、法律的に問題がないから強気で提案ができ、場合によっては相手への譲歩の提案も必要になってくるものなのです。
この事例をどう対応するかを個人的な常識の価値観だけで判断するのではなく、しっかりと法律と照らし合わせた判断ができる担当者になりましょう。