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第92講 なぜ『ケーキやパンに髪』の偽クレームを約7000回も繰り返すことができたか(4)

クレーム対応 実践マニュアル

取引企業とのクレーム対応、消費者とのクレーム対応、製品サービス別、メンタルヘルス…「クレーム対応の初期対応法」を学べるCD教材、ダウンロード教材を発刊いたしました。ぜひ、コラムをお読みの方々にご活用いただけましたら嬉しく思います。

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なぜ『ケーキやパンに髪』の偽クレームを約7000回も繰り返すことができたか(4)>
~誠意を持って対応するということは『事情を聴くこと』と『調べること』と『提案すること』

クレーム対応の場面でよく聞く『誠意を持って対応する』ということを手法に落とし込むと、以下の3つの行動をすることです。
1つ目は、相手がこの商品を買うことになった事情や、この商品が不具合品だったことで困る事情をしゃべらせること。つまり『話しを聴く』ということです。
『聴く』というのはとりとめなく、際限なく相手の話を聞くことではありません。こちらに興味のある部分について質問をして話を聴くことです。

ほとんどのお客様が気にしないポイントを、なぜ、あなたは気になるのか?
そこまでこだわる理由はなんなのか?
誰のために抗議をしているか?何のために抗議をしているのか?
なぜ、そんな心理になったのか?

相手の話に興味をもち、担当者が『違和感』に思う点を、言葉の技術を使いながら問いただしていくことが、相手の話を聴くということです。
ここで重要なのは、担当者自身が自分の疑問に正直になることです。
「このお客さん、今、つじつまが合わないことを言ったような感じがするけど、たぶん、こういう意味で言ったんだろうなあ」と、勝手に相手の考えを自分の思い込みにすり替えないこと。
「なんで、そんなことになるのかなあ。製品の特質上、そんなことにはならないはずだけどなあ」と思うのであれば、「お客様、私が今の現象に納得しておかないと、お客様に納得していただける説明になるはずがありませんので、恐れ入りますが、3点ほど、もう一度詳しく教えていください。まず、1つは~」と言って相手の話を聴きだすこと。
実は、説明をすることよりも、聴きだすことの方が大切だということに、気づいていないクレーム対応担当者は、高い確率で、クレーム対応に失敗すると言えます。

だいたい、お客様は説明なんて求めていないのです。
確かに「なんでこうなるのか、説明しなさい」と言うけれど、それは無意識に知的な客を演じた方が良いだろうと思ったお客様の芝居です。
2つ目は「なんでこうなるのか、説明しなさい!」と言われた場合、できる限りのことを持てる知識と予想で説明をすることはしてはいけないということ。
説明をしなさいと言っているのは、「調べなさい」と言っているのです。なぜなら、調べないと結果は導けないはずだからです。
また、結果が出ないと再発防止に取り組むことができないはずです。そう、お客様が「説明をしなさい」と言っているのは「よく調べて、原因を究明し、再発防止策を打ってください」と言っているのです。
だから、「説明をしなさい」と言われて、汗をかきながら中途半端な知識を基に説明することはしてはいけないのです。
この場合は「詳しく調べてから説明をいたします。調べることで、原因を見つけることができ、その原因に対する再発防止に取り組むことが、企業として誠心誠意対応したと言えるのだと思います。」とお伝えし、原因究明に必要な時間をいただくことが担当者のやるべきことです。
そのためには、現品を拝見し、現場を確認し、豊かな現象の情報を必ずいただくことをしなければならいないのです。

今回のパンとケーキのクレーマー事件についても、「現品がないのに、返金した」「現品がないのに、返品という建前で商品を渡した」ということに、対応の問題がありました。

たとえば「現品はありません」や、「現場を見に来てもらうのは困ります」や、「詳しい現象は口では言えません」と言われたら、対応をすることから離れることがやるべきことです。その時に
「現品に関する情報を思い出されましたらご連絡をください。その時点で改めて対応いたします」
「現場を見せてやろうとお気持ちが変わりましたらご連絡ください。その時点で改めて対応いたします」
「現象について、今以上のことで何か思い出されましたらご連絡をください。その時点で改めて対応をいたします」と、提案型のトークを使うことが3つ目の行動です。

一見、冷たい対応のようにも感じますが、企業のクレーム対応担当者の方々には、やるべきことをやり、やるべきではないことはやらない。それを、技術の高いトークで伝えることが、本当の誠実な対応だということに目覚めてほしいのです。
そうすれば、幼稚な手法の悪質クレーマーに目をつけられることは少なくなるのです。

中村友妃子          


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