取引企業とのクレーム対応、消費者とのクレーム対応、製品サービス別、メンタルヘルス…「クレーム対応の初期対応法」を学べるCD教材、ダウンロード教材を発刊いたしました。ぜひ、コラムをお読みの方々にご活用いただけましたら嬉しく思います。
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なぜ『ケーキやパンに髪』の偽クレームを約7000回も繰り返すことができたか(1)
~不当要求が通じる企業や商店が、不当要求型のクレーマーを引き寄せているのです~
2015年9月26日付近のニュースの中に、ケーキやパンに髪の毛が入っていたなどと電話でうそのクレームをつけ、企業や商店から現金や商品をだまし取ったとして、兵庫県伊丹市の45歳の女を詐欺の疑いで逮捕したというものがありましたね。
彼女は平成25年10月ぐらいから繰り返しクレームを申し出ていたということで、電話を掛けた回数は約7000回にも及んだと言います。
今回の逮捕に至ったのは、彼女に会いに、しょっちゅうビジネスマン風の人が頭を下げながらやってくることに、違和感を感じた近所の人が、記録を取り、その訪問者たちから情報を集めて、彼女の不当要求を見破ったといういきさつがありました。
なぜ、彼女は7000回も根気よく毎日、企業や商店に電話をかけ続けることができたのか。その理由は簡単です。電話をしてうそのクレームを申し出れば、高い確率で自分に利益が入る確信があったからです。
なぜなら、企業や商店は消費者からのクレームには、消費者が許すまで対応をし続け、対応ができる要求には応じるものだからです。そして、彼女が連絡をした企業や商店のほとんどは、その対応をしたのです。
でも、企業や商店としてきちんと認識しておかなくてはならないポイントの1つがここにあります。そのポイントはとても重要なポイントです。
彼女は、消費者が許すまで対応をし続け、対応ができる要求には応じる企業や商店を狙っていたということです。
つまり、クレーマーは、現品と異物とレシートの3つが揃っていなくても、「もう、ケーキはないけれど髪の毛が入っていた!どうしてくれるの!」といえば、最後まで対応してくれるような小さな企業や、手短な商店を選ぶのです。
なぜなら、相手が消費者というだけでどこまでも迎合することを知っているからです。
じゃあ、選ばれなかった企業の理由は何かというと、相手が消費者であっても手法的にクレームを終わらせる術をもっているということ。つまりクレーマーからすれば自分の理不尽な要求を達成するのに難易度が高い相手には、うそのクレームは言ったりはしないのです。
こんな時にいつも私が、企業や商店の方に指摘しているのが『クレーム対応は誠意だけで解決するのではなく、テクニックで解決するものだ』ということです。
なんで、いろんな企業や商店は彼女のうそにひっかってしまったのかなあ。うそのクレームだとわかっていても断れなかったという担当者もたくさんいるんだろうなあ。と思うと悔しいです。
何が悔しいかというと、彼女にだまされたことではなく、企業や商店の担当者たちがクレーム対応のテクニックを身に着けていなかったことです。身に着けるような研修や勉強の機会を会社が与えていなかったことです。
クレーム対応の手法を身に着けていれば、今回のような不当要求型のクレームを回避することは、とても簡単なことです。クレーマーの中でも、不当要求型のクレーマーを寄せ付けないことが最も簡単です。
つまり、最も簡単なクレーマーに引っかかってしまったということになるのです。その原因は、クレーム対応の勉強不足!これにつきます。逆から言うと、勉強不足の企業や商店しか引っかからないクレームなのです。
7000回もクレームの電話をかけた女性クレーマーにもあきれますが、私は、見破ることが容易い幼稚な不当要求にひっかかってしまった企業や商店にあきれているのです。
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