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第91講 なぜ『ケーキやパンに髪』の偽クレームを約7000回も繰り返すことができたか(3)

クレーム対応 実践マニュアル

取引企業とのクレーム対応、消費者とのクレーム対応、製品サービス別、メンタルヘルス…「クレーム対応の初期対応法」を学べるCD教材、ダウンロード教材を発刊いたしました。ぜひ、コラムをお読みの方々にご活用いただけましたら嬉しく思います。

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なぜ『ケーキやパンに髪』の偽クレームを約7000回も繰り返すことができたか(3)
~『勉強が足りた担当者の不足』と『心当たりがある後ろめたさ』と『提供しやすい商品』の3つの要因

この事案について、消費者問題の研究や勉強を共にする仲間たちと、会話をする場面がよくあります。
「あ~あれ、あのケーキやパンに毛髪混入のクレーム客の話、どう思う?」と、誰かが口火をきり、「あ~あれねえ」「ん~あれねえ」と、まずは、2~3人が中途半端に相槌を打つのがお決まりの状況。
そして次に飛び交う言葉は「なさけないねえ」「そうだね、なさけないねえ」と力なく、皆で繰り返してつぶやいてうなだれてしまうのです。
誰になさけないと思っているかというと、こんなわかりやすいクレーマーに何度も対応した企業や、店舗に対してです。

クレーム対応は、誠意で解決するのではなく、手法で解決するものなのです。誠意が不必要だと言っているのではありません。とにかくクレーム対応の手法を使うことが最前提なのです。
例えば、たとえ誠意があったとしても、手法をまちがえれば、その誠意は伝わりません。
だから、手法が大切だと言っているのです。手法はどうやって身に着けるのか?
クレーム対応に関することを学ぶ勉強を重ねるしかありません。
クレーム対応に関するセミナーや研修を受講する。『契約』や『表示』や『民法』などの法律を学ぶ。心理学にかかわって、基本的な心理を理解する。コミュニケーション力をつけるための話し方の研修を受ける。クレーム対応に関わっている他社のメンバーと事例研究を重ねる。などがクレーム対応に必要な勉強です。
しかし、ここでわかってほしいことは、勉強が必要だということだけではありません。上記のような勉強を重ねクレーム対応のスキルを備えもつ専門担当者が必要だということなのです。
1回だけクレーム対応の講習を受けたからと言って、クレーム対応の手法は習得できないのです。だから、専門担当者に、コツコツとさまざまな角度でクレーム対応に役立つ勉強を重ねてもらわなければならないのです。

よく「うちの会社のすべての者が、クレーム対応ができるようにしたいと思っています」と言う経営者がいますが、私からの返事は「無理」です。
なぜなら、上記の勉強を従業員全員に受けさせ続けることができますか?まして、いつ飛び込んで来るかもしれないし、もしかしたら飛び込んでこないかもしれないクレームに、対応するための様々なテクニックを習得する勉強を、全員に受講させ続けることは現実的ではないと思います。
それよりも、クレーム対応専門者を設定し、その人に勉強の機会をたくさん与えることの方が、現実的です。ただ、クレーム対応専門者は、最低2名は必要です。1名では、実際に対応を相談できる相手が会社に居ないと、この担当者もつぶれてしまうからです。そんなサポート体制を構築することも企業が正しいクレームと正しくないクレームの判断を誤らずに立ち向かうために、やらなければならないことです。

次に、今回の情けない対応をした企業や店舗に考えられることの1つに、『毛髪混入をしている』というクレームに思い当たる点があったということです。食品企業が改善したくても改善しきれないという悩みを抱えているクレームは、『毛髪混入』です。つまり、クレーム事例で最も多いのが『毛髪混入』なのです。

そんな中で『毛髪が混入している』というクレームが飛び込んで来たら実際は、「またか!」という思いに担当者はなるものです。
その次に『毛髪混入』が抱えている問題は、『ほぼ、原因を見つけることができない』ということです。混入していた毛髪のDNAを調べれば、誰の毛髪かがわかります。そうなると原因も見つけやすいのですが、コストがかかりすぎでDNAを検査することはしないものなのです。
ただ、「またか!」という思いがあるので、「謝って済ませる」ことを選んでしまうのです。

情けない対応になってしまった理由のもう1つにケーキやパンの企業や店舗を選抜していたことにあります。簡単に言ってしまえば、クレーマーの要求に応えるのに、苦慮しない製品を扱っているということです。
つまり、物理的に何個でも提供できる製品であることも、こんな騙され方をした要素です。
なぜなら、企業にとって多少の数量を提供することや返金をすることが大変ではない単価の物だからです。
これが、車の企業を相手にクレームを執拗に伝えた場合だとしたらと考えてください。いくらクレーマーがごねたからと言って、車を10台も20台もお詫びとして提供してくれることはありえません。
でもパンやケーキの企業や商店を相手にクレームを言った場合、もともとは1個の商品についてのクレームだったとしても、企業は5個や10個はお詫びとして提供することができます。5個や10個を提供しても、金額的にそれほど痛手にならないからです。
クレーマーは、2~3回うそのクレームで呼びつけて、その都度、あまり深く状況を調べることもしないで、5個~10個のケーキやパンを持って謝りに来る企業や商店に、目をつけるのです。

中村友妃子          


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