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- 第14号〝建設・不動産業”のための全員営業の活用法【実践編】
第14回コラムでは、建設・不動産業が、会社の外に存在する最強の営業マンを活用するヒントをお伝えします。
建設・不動産業で、工場・店舗や新築物件の建築を、自社独自の営業活動で獲得しようとすると他業界とは違う特性を考慮しないと、真の営業強化にはつながりません。
建設・不動産業の営業上の特性で、特に顕著なのは、重要な意思決定ほど会議室で決まるという点です。
そうなる原因は、1契約ごとの金額が数千万~億単位と高額であること、全く同じ物件がないため、実物が出来上がるまではイメージでしか判断できないことにあります。
ゆえに、セールストーク重視の直接的な商談強化のみでは、情報収集や企画設計段階はともかく、2~3社に絞り込まれる段階や最終1社に決定される場面では、そもそも会議室に同席すらできないため、営業マンのスキルや影響力はまったく発揮できません。
しかし、営業プロセスにおいて、重要な意思決定の場面ほど、間接的にしか営業力を発揮できないことが事前に分かっているならば、会社が考慮すべきことは、「間接的なやり方で、自社の特徴や強みを理解してもらうには、どうするか?」です。
とはいえ、間接的な営業を強化しようと社内で検討してみたところで、今までとは全く視点が違うので、検討してみても、そう簡単には効果的な意見や施策が出てこないものです。
では、今まで、自社では、間接的な営業をまったくやってこなかったのでしょうか?
そんなことはありません。実際、すべての建設・不動産業の会社が、これまでも間接的な営業をやってきています。ただ、会社として、意思決定者に影響力を発揮できるまで強化しようという意識がなかったがために、見過ごされてきたにすぎないのです。
では、間接的な営業力として、どの建設・不動産業でも使っている代表的なものを幾つか上げてみましょう。
例えば、「会社案内、販促チラシ、ホームページ…」などが、それに当たります。
さて、ここで、再度自社に立ち却ってみてください。
御社の会社案内や販促チラシやホームページを見直したのは、いつが最後だったでしょうか?
もう少し突っ込んで言えば、先方の役員会議で回覧されるかもしれない企画書の体裁は?
ほとんどの会社が、せいぜい数年前に一度、見直しや点検した程度ではないでしょうか?。下手をすれば、創業当初から、ほとんど変わっていないものすらあるかもしれません。
競合に抜きんでた業績を上げている会社は、そのうちの幾つかに、自社なりの工夫を必ず加えています。また、それだけで不足していると考えた会社は、さらに強化するために、別の資料や、過去の実績や、新たな情報誌などを作成する場合すらもあります。
しかし、この間接的な営業力は、新たに作成したり、改善するだけでは、意味がありません。なぜなら、そこには、3つの大きな壁が存在するからです。
その3つとは、お客様が「見ない、読まない、信じない」という壁です。ゆえに、ただ作成するだけ、存在するだけではなく、以下の要素が必要となります。
見ない →見てもらうための仕掛け
読まない →読んでもらうための内容
信じない →信憑性を出すための工夫
間接的な営業力には、この3つの要素があって初めて、お客様に影響力を発揮することができるのです。
もちろん、そう簡単ではありませんし、一朝一夕には、手に入れられないかもしれません。一方、それゆえにこそ、競合会社は、簡単には真似することができず、優位性が長期に渡り保てるのです。
そして、確固としたものができた時に得られる最大のメリットは、会議室の意思決定だけでなく、時には、相手先の本社部門・土地を保有する地主・あるいは事業資金を提供する金融機関時にすら良い印象と影響力を与え、場合によっては、それが一人歩きすることで、新たな見込客や紹介客をつれてきてくれるほど強力な武器になることすらあるのです。
・今回のポイント(〆の一言):
建設・不動産業では、直接面談しない第三者に影響を与えられることが真の営業差別化を生む。お客様の目と手に触れるものを、無言の営業マンの域にまで高める工夫を考えよ。