まだまだ暑い日が続いていますが、時々秋の気配を感じることもあるようになりました。皆様いかがお過ごしですか。
出張先で夜一人でスーパーに行って買物をした時、そこではレジ袋をくれませんでした。買ったものは少しでしたが、ポケットに入りきらなかったので、レジ袋をくださいとお願いしたら、1枚3円で売ってくれました。(写真1)
●写真1:スーパーでレジ袋を買いました
周囲を見渡すと、そこにいたたくさんのお客様全員が何らかの自分の入れ物を持っていました。このようにして世の中が変わっていくのだなと実感しました
さて、先回お知らせしましたが、今回は8月上旬に行ったザンビアでの経験を書かせていただきます。いつもの内容とはずいぶん違いますが、少しでもお役に立つことがあれば幸いです。
まずザンビアに行った理由ですが、二つあります。
一つはこのザンビアへの旅の主催が原丈人(はらじょうじ)さんという方であったことです。原さんは デフタ パートナーズ というサンフランシスコに本社を持つ投資育成会社の会長です。
そして、それ以外にも多くの社会的な活動をされていて、最近では世界規模で活躍している日本人として新聞・雑誌・テレビなどでも紹介されているので、ご存知の方も多いと思います。
その原さんは、現在の資本主義のあり方を痛烈に批判しておられます。現在の「会社は株主のためにある」というのは間違いで、「会社は従業員や社会のためにある」べきであるということで「公益資本主義」という考えを提唱されています。
参考文献「新しい資本主義」(原丈人著 PHP新書)
実は私も、今回の急激な景気の悪化によって大きなダメージを受けました。これまで長年にわたってご一緒にカイゼンを実行し、モノづくりも経営も本当に立派になられた会社の中で、数社が過去にない急激な注文の減少によって経営状況が急速に悪化し、やむをえずリストラをせざるを得ないという情況になってしまったのです。
私は決して変化を嫌っているのではありません。変化は絶対に避けられないし、それに対応することが進歩向上であると確信しています。しかし、今回の変化は大きすぎるし速すぎると思います。
製造業は研究開発や人材育成、あるいは設備の投入に時間とお金がかかります。みんなで助け合ってここまできたのです。
決して、短期的な評価では成立しない業界です。しかし、現在の世の中の評価は短期的な収益にばかり焦点が集中し、製造業が歩むべき、ユックリであってもしっかりとした確実な道筋を、否定するような動きがあるように私には思えます。
製造業が、今後とも高いレベルで付加価値を生み出し、世の中に貢献できるようにお手伝いすることが、私の使命であると考えておりますが、それが難しい方向に向かっていると感じておりました。
そのような中で私自身は、このような社会の動きは変えられないもので受け入れるしかないと思い込んでいたのですが、原さんが私も納得できるあるべき社会の姿を主張しておられることを知り、まずは直接にお目にかかって勉強しようと参加しました。
もう一つの理由ですが、世の中は科学技術の進歩とカイゼンが進み豊かになっているはず…なのですが、一方でアフリカ諸国を見ると、ますます貧しくなっているといった、貧富の二極化が世界中で広がっているようです。カイゼンは誰でもできることであるはずなのですが、事実はそうではないようです。
私自身はユニセフなどを通じて寄付をしたり情報を貰ったりしていましたが、実際には見たわけではないので、実感を伴っておりませんでした。やはり、現地に足を運び、実際の姿(現場)をこの目で見たい…と言う思いが強くなってきていたのです。
●ところどころに点在する村の風景。
この写真の家はちゃんとしています、実際は壊れかけた家が多いです。
日本も第二次大戦終戦直後は何も無い、世界で一番貧しい国の一つであったという事実と、そこから製造業が中心になって世界の大国になったというもう一つの事実を考えると、もし日本で行われているカイゼンの考え方と技術を分かりやすい形で貧困にあえいでいる国の方々にお伝えできたら、何らかの役に立てるのではないか、そしてもしそれが実現できたら、そこからまたモノづくりのレベルを向上させる新しいカイゼン技術を生み出すことができるのではないかと考えています。
●カイゼンについて鉱山開発大臣にプレゼンしているところです。
私の右隣は三田村ザンビア大使、その隣は原丈人さん。
実際に現地に行ってみて、かなりのことが分りました。次回はそこで発見した明るいニュースをお伝えしたいと思います。
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