menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

税務・会計

第36号 信用金庫はあっても信頼金庫はない

会社を守り抜くための緊急対策

 「安心・安全」と同様、「信用・信頼」も一緒に使うことが多いものです。しかし、現実は、使い分けをしていることもあります。
 「信用金庫」はあっても「信頼金庫」はありません。
 「信頼関係」と言いますが、「信用関係」とは言いません。
 「信用取引」はありますが、「信頼取引」はありません。
 現実は、「信用」と「信頼」はごちゃごちゃになっています。
 「信頼」してもらうためにはまず「信用」が必要であり、「信用」なしに「信頼」を勝ち取れないことは理解できます。
 「あの人は、これまでの行動から「信用」できるため、この仕事も「信頼」して任せられる」ということになります。
 弁護士や会計士などの有資格者は、それだけで信用があると思われています。
 信用してもらう必要がないからでしょうか、お客に対して、信頼してくださいと話をする資格者も多いのです。
 このためトラブルが絶えないのも事実です。
 資格者だからと言って、信用できるとは限らないからです。そんな資格者をよく知っています。
 お金のトラブルは今も昔も相変わらず減少しません。
 もしあなたが人にお金を貸す場合、どちらの言葉を使うでしょうか。
 「貴方を信用してお金を貸します」
 「貴方を信頼してお金を貸します」
 「安全」と「信用」は何か物理的な根拠があるものです。それに対して「安心」と「信頼」は主観的・精神的なもの。
 だから、安心と信頼は人によって異なります。
 では、もう一度、「貴方を信用してお金を貸します」「貴方を信頼してお金を貸します」を考えてみます。
 相手の調査もせず、勝手に信頼して仕事を任せてみたり、お金を貸すなどするとトラブルになります。だから、人は過去の実績等を聞くことになります。
 学歴もそうです。
 学歴社会ではなくなったと言われていますが、本当にそうなのでしょうか。
 弁護士や会計士は必ず、出身大学を聞かれます。資格を取っても完全な学歴社会です。
 会計士以上に弁護士はその傾向があるようです。
 東大法学部同士でも、今度は、高校は東京の開成高校か兵庫の灘高校で競い合っている人もいます。ここまできますとよくわかりません。
 ちなみに同じ専門家でも医師や税理士はあまり学歴の話はないような気がします。
 結果的に採用した人が、いい大学だったという人事の人がいますが、本当にそうでしょうか。
 ただ、学歴社会ではなくなったと言われているため、それに対するパフォーマンスなのかもしれません。
 今も、学歴は立派な信用材料なのです。
 ところで、金融機関がお金を貸す際、借り手に対して信用という言葉を使うでしょう。そして、返済が滞った場合などに、「このままでは御社との信頼関係が・・・」と金融機関は話します。
 信用するために、会社の決算書・直近の試算表そして資金繰り表を入手し、社長の資産状況も調査します。すべて客観的な情報です。
 もちろん貸し手は、この情報を鵜呑みにはしません。独自の方法で修正を加えていきます。
 こうして「信用」できるかどうか、客観的に検証しているのです。
 そして、貸す時は「信用」するから貸し、貸した後はそこに人間関係ができるため、「信頼」という言葉を使うのです。
 返済が滞ったりした場合には、銀行から「このままではお互いの信頼関係がなくなります」と言われることがあります。
 ここで、借り手は不安になるのです。せっかくこれまで築いてきた信頼関係がなくなっては困ると。
 でも、少し待ってください。
 本当に信頼しているのであれば、保証人も担保も取らないでしょう。しかし、現実はそうではありません。
 ということは、本当は信頼なんかされていないのです。また、そのように考えていた方が気が楽です。
 気が楽になれば、脅しともとれる信頼関係がなくなるという言葉も聞き流すことができます。
 貸し手と借り手が友人・知人の場合は、すでに人間関係があり信用しているため、信頼を使うことが多いのでしょう。
 ただ、あまり深く考えるとわけが分からなってきます。だから、実際は、曖昧にして「信用・信頼」を使うことが多いのです。
 言葉はとても難しいものです。だから話す前に、息をのみこんで一呼吸して話をするといいと言われます。

書籍 海生裕明著『連結バランスシート経営で会社を強くする』好評発売中

 

 

第35号 「この新幹線は安全です」のアナウンスは流れない前のページ

第37号 親が相続を語る時次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

    セミナー

    社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

  2. 公私混合経営マニュアル

    公私混合経営マニュアル

  3. 「公私混合で考える《経営と蓄財》」

    音声・映像

    「公私混合で考える《経営と蓄財》」

関連記事

  1. 第27号 中小企業の本当の消費税対策~その6~

  2. 第44号 不正発見は簡単

  3. 第99号 不正摘発現場 その2

最新の経営コラム

  1. 第93話 右肩下がりの業界であっても!

  2. 第70回 「家系図のはなし」

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳 2025年4月2日号

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 2025.04.01

    先月度 売れ筋人気ランキングの更新のお知らせ

  2. 2025.04.01

    ビジネス見聞録4月号公開!経営コラム「JMCAweb+」更新のお知らせ

  3. 2025.03.28

    経営コラム「JMCAweb+」更新のお知らせ

  1. 経済・株式・資産

    第11話 中国経済が成長すればするほど日本が儲かる
  2. 税務・会計

    第19回 製造原価報告書なんて、中小企業ではいらない!~上場企業並みの処理をした...
  3. 経済・株式・資産

    第14話 なぜ朱鎔基前首相は 日本の子供たちの行動を絶賛したか?
  4. マネジメント

    中国史に学ぶ(10) 人材獲得術「先ず隗より始めよ」とは
  5. 税務・会計

    第4回 銀行引き受けの社債は、やめておきなさい!
keyboard_arrow_up
menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ